2015 Fiscal Year Research-status Report
重粒子線によるDNA二重鎖切断修復特異的に働くユビキチンリガーゼの機能解析
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26740023
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
中島 菜花子 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究員 (50402863)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射線 / DNA修復 / 重粒子線 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、H26年度までに重粒子線照射後のDNA修復が、ユビキチンリガーゼRNF8依存性経路で修復されることを明らかにした。H27年度は、ヘテロクロマチンマーカーH3K9me3抗体とγH2AXとの多重染色により、RNF8ノックダウン細胞で残存したγH2AXがユークロマチン領域に局在することを確認した。RNF8依存性経路で修復されるDNA損傷は高頻度でリセクションされていること、RNF8依存性修復はKU70/80の発現抑制には影響されないことを明らかにした。前年度までの結果も踏まえ、申請者が発見したRNF8依存性経路はクロマチン構造に関係なく、DNA損傷末端の複雑性によって選択されるユニークな修復経路であることが強く示唆された。また、肺がん細胞A549のRNF8ノックダウンに、重粒子線増感効果があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度は研究計画(3) 重粒子線誘発クラスターDSB におけるRNF8 のresection、HR 及び生存率への影響 (4) 重粒子線誘発クラスターDSB 部位におけるKu80 安定性に対するRNF8 の影響をほぼ計画通りに遂行し、RNF8はリセクション下流のステップに機能すること、siRNF8が放射線増感効果を高めること、Ku80発現はRNF8依存性経路に影響しないことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
RNF8のDNA修復経路における機能は、53BP1またはBRCA1をDNA損傷部位にリクルートすることが報告されている。申請者が発見した重粒子線照射後のRNF8依存性修復経路が53BP1/BRCA1に影響されるかを確認する。
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Causes of Carryover |
当初の計画はほぼ達成したが、課題内容に深く関わる新たな知見が報告され(Xiong et al., NAR 2015)、その知見を踏まえ、重粒子線誘発DNA損傷のRNF8依存性修復に関わる53BP1の機能を検証する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
53BP1発現抑制実験のための試薬、これまでの結果を発表するための学会参加費・旅費・投稿料として使用する。
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