2015 Fiscal Year Research-status Report
組み換え修復関連遺伝子のノックアウト細胞株を用いた遺伝毒性物質の評価に関する研究
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26740026
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 哲矢 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (20573950)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DNA二本鎖切断 / 相同組換え修復 / DNAヘリカーゼ / DNAリゾルベース |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に作製したDNA ヘリカーゼ(WRN、RECQL5)とDNAリゾルベース(GEN1、SLX4)のノックアウト細胞についてウェスタンブロット法により各タンパク質の発現を確認した。また、細胞増殖速度については、いずれのノックアウト細胞も野生型の細胞と比較して顕著な差は見られなかった。TK遺伝子自然突然変異頻度は、点突然変異などに由来するnormal growthの変異頻度に変化は見られなかったが、LOHに由来するslow growthの変異頻度はGEN1とRECQL5のノックアウト細胞で高い傾向が見られた。さらに遺伝毒性物質に対する細胞毒性感受性を調べた結果、カンプトテシンとエトポシドに対してはGEN1のノックアウト細胞で、また、ヒドロキシ尿素ではWRNとRECQL5のノックアウト細胞で細胞毒性感受性が高い傾向が見られた。さらに、RECQL5とSLX4のノックアウト細胞は、ブレオマイシンに対して耐性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に解析できなかった細胞増殖やTK遺伝子突然変異頻度などの表現型の解析を実施した。また、野生型および各遺伝子のノックアウト細胞を様々な化学物質にばく露し、細胞毒性感受性を比較することにより、どの化学物質に対して、各遺伝子が防御的に機能しているかを調べた。これらの結果から、平成27年度に予定していた研究内容である野生型に比較してノックアウト細胞で高い細胞毒性感受性を示す化学物質とノックアウト細胞の組み合わせをスクリーニングすることがある程度達成できたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた各化学物質に対する細胞毒性感受性の結果について、別のノックアウトクローンで同一の結果が得られるかの確認実験を実施する。それらの結果から、野生型に比較してノックアウト細胞で高い細胞毒性感受性を示した組み合わせのうちより顕著な差が見られた2、3種類の化学物質について、TK遺伝子突然変異を調べる。50%程度の細胞毒性を示す用量を最高とし、低用量域を含む3段階以上の用量を用いて、TK遺伝子突然変異頻度の用量-反応曲線を描き、遺伝毒性の閾値における各遺伝子の影響を検討する。さらにTK変異体について、シーケンス解析およびマイクロサテライトマーカーを利用した定量的LOH解析によって、点突然変異、大きな欠失や組換えまでを含めた変異スペクトルを詳細に調べ、変異誘発のメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
前々年度に研究の進捗が遅れていたため、平成27年度中に学会発表などを行うことが出来なかったため旅費の使用が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表をするための旅費として使用する予定である。
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