2014 Fiscal Year Research-status Report
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26740035
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
粟田 貴宣 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教 (80724905)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海洋性アナモックス細菌 / 硫酸還元プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は海洋性アナモックス細菌が優占化しているバイオマスを用いて、硫酸還元、マンガン酸化、マンガン還元、鉄還元プロセスが進行するかどうかの確認を行った。用いたバイオマスの特徴を把握するために、FISH法を用いた顕微鏡観察でアナモックス細菌の優占度を確認するとともに、qPCRによってアナモックス細菌のコピー数および硫酸還元菌のコピー数測定を行った。アナモックス細菌の優占度は約85%であり、回分試験の結果より、このバイオマスの硫酸還元速度、マンガン酸化速度、マンガン還元速度、鉄還元速度はそれぞれ2.05、0.005、0.16、0.01 nmol/mg-protein/minであった。qPCRの結果より、硫酸還元菌の増殖は確認されず、アナモックス細菌がこれらのプロセスに寄与していると考えられるが、優占度が85%であり、その他15%の共存する微生物についての解析は行っておらず、さらなる確認が必要と結論づけた。 今後の予定として、まずはより純度の高いアナモックスバイオマスを得るために、MBRによって浮遊状バイオマスを得た後に、密度勾配遠心分離によってほぼ100%のバイオマスの取得を試みる。得られたバイオマスを用いて同様の試験を行い、アナモックス細菌が今回対象としたプロセスに本当に寄与しているかの確認を行う予定である。さらにはこれらのプロセスを利用したエネルギー獲得によって増殖が可能かを放射性同位体標識した無機炭素を用いた取り込み試験、MAR-FISH法を用いた顕微鏡観察によって確認し、補助的なプロセスとして利用価値があるかどうか明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試験に適していると思われるバイオマスが得られておらず、試験を行うための十分なバイオマスが確保出来ていないためである。MBRの運転を行っているが、ポンプトラブルによってバイオマスのほとんどが失活してしまい、再度スタートアップを行っているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
MBRの運転による浮遊状バイオマスの獲得にはある程度の期間を要するため、そこへ投入するバイオマスを十分量確保するためにup-flow型のリアクターの運転も平行して行う予定である。 浮遊状バイオマスを密度勾配遠心分離し、純度の非常に高いバイオマスを用いて回分試験によるそれぞれのプロセスの確認を再度行う。その際にmRNAのコピー数をモニタリングすることで詳細な活性の経時変化を明らかにするとともに、関連するタンパク質についての解析も行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究機関移動に伴い、新規購入予定であった恒温器の購入が不要になったことがある。旅費については水環境学会年会のための旅費に他の研究費をあてたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に外注を予定している解析のサンプル数を増やす、培養容器を増設することを予定しており、試薬などの追加購入を予定している。
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Research Products
(3 results)