2015 Fiscal Year Research-status Report
自然共生型社会の実現に向けた生物多様性の評価・予測モデルの開発と国土政策への反映
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26740062
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Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
上野 裕介 国土技術政策総合研究所, 防災・メンテナンス基盤研究センター, 研究官 (90638818)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ビッグデータ / 生物多様性保全 / 景観構造 / 地理情報システム / 環境政策 / 景観生態学 / 生息適地モデル / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然環境をはじめ国土に関する基盤情報(ビッグデータ)を共有し、それらを活用した効率の良い国土管理や環境保全計画の策定を行うため、統計的手法によりマルチスケールで保全上重要な地域を評価・予測する数理モデルを開発し、予測の精度・頑健性・汎用性の検証、重要地域の明示、現実的なロールモデルについての研究を行っている。 2015年度は、前年度までに収集した希少種の分布情報(全国1800か所超)のデータ入力を終了し、解析に必要な植生等の環境情報をデータベースとして整備した。さらにこのデータベースを基に、生物多様性の保全上、重要な地域の明示を試みた。また、新たな環境調査技術のひとつであるUAV(ドローン)を用いた空撮と高精細な環境情報(植生、地形、生物分布情報など)の抽出、写真測量技術を用いた3次元立体計測の精度検証を行い、検証結果を学術論文として投稿し、受理された。さらに、これを基に生物多様性の評価・予測モデルの精度向上策について検討を行った。加えて、人口減少や防災・減災、地方創生といった国内の重要課題に対し、生態系や生物多様性を活用した自然共生型社会の実現に向けた各種ロールモデル(グリーンインフラストラクチャーの活用など)の分析を行い、学会発表を行った。 これらの研究を通じ、次年度(最終年度)は、効率の良い国土管理や環境保全計画の策定を支援する学術的基盤を構築し、産官民の各分野で現実的なロールモデルの提案につなげたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進展しており、これまでに研究に必要な希少種の分布情報の収集とデータ入力、解析に必要な植生等の環境情報も整備が終了した。また、予測精度向上のための詳細な地形・植生の把握手法についても研究を実施し、査読付き学術論文として学会誌に受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、2014・2015年度に実施した生物多様性の予測モデルを地理情報システム(GIS)に統合し、保全上重要な地域を明示する。その上で、これらの結果を基に、生物多様性保全に関する現実的な(実現可能性の高い)対策を検討し、制度設計および行政施策につなげるためのロールモデルを提案する。
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Causes of Carryover |
当初計画を効率的に進めた結果、直接経費の節約が図られた。他方、次年度には、学術論文の掲載料の支払いと学会発表が見込まれ、また研究結果を、より多角的・精緻に検証するための現地調査を行うことを予定していた。そこでこれらの経費に充当するため、2016年3月に補助事業期間の延長手続きを申請し、先般、学振より承認を得たものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、投稿・審査中の学術論文(科研費を受け実施した研究)の掲載料の支払いと学会発表が見込まれるため、これらの経費に使用する。また研究結果を、より多角的・精緻に検証するため、現地調査を行う予定であり、これらの旅費、消耗品等に使用する。
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