2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effective Life-Rebuilding Support Model and Ideal Support System for Over-Indebted Debtors
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26750011
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石橋 愛架 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (60610920)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多重債務者 / 生活再建 / 家計管理 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、人々が多重債務に陥り返済と借入れを続けるプロセス、および、多重債務者にとって生活再建とはどのようなことかを解明した。その結果、多重債務者の生活再建には、生活目標を持てること、家計管理能力を獲得すること、社会とのつながりと自信を回復することが含まれることを見出した。また、多重債務者の生活再建支援モデルとして、主体的に行動させるための相談支援と家計管理能力育成のための相談支援を提示した。 多重債務者は、借金が原因で職を失ったり、家族と絶縁状態になったり、社会との関係が絶たれている場合が多い。とくに高齢者の場合には、再度職に就くことが難しいこともあり、社会的孤立を防ぐための方策は必要不可欠であることから、最終年度は、社会とのつながりの回復に力点を置いて研究を行った。 具体的には、日本の高齢者サロンや老人クラブを視察し、リーダーに対するインタビューを行い、これらの団体が高齢者の社会的孤立を防ぐ役割を果たしていることを見出した。このことから高齢の多重債務者に対する生活再建支援においては、地域の中で社会参加できる場所に関する情報提供などの支援も必要であると考察した。 さらに、フランスにおいて、高齢者活動センターや高齢者用コミュニティ住宅の視察とスタッフへのインタビューを行った。活動センターでは、スタッフが孤立した高齢者の家に出向き「お茶会がある」などと勧誘して社会的孤立を防いでいることが語られた。また、コミュニティ住宅は、家事支援とアクティビティ付きのワンルームマンションといったものである。日本のコミュニティ住宅は入居費用が高額な場合が多いが、フランスのそれは市営であり、本人の年金で賄えるだけの費用で済む。フランスの例は、日本において高齢者の社会的孤立を防ぐための方策を考える参考となろう。
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Research Products
(2 results)