Outline of Annual Research Achievements |
本論は, 歴史的小都市である奈良県桜井市初瀬において, コミュニテイで暮らし続ける為の事業の担い手育成を目指し,成果として支援技術を開発することを目的とする. 前年度は,初瀬の景観まちづくり活動の変遷共有,ワークショップを行い自治会の活動概要把握(空家,防災,福祉,移住者対応など),まちづくりに興味のある方を中心に移住者交流会を開催することで,これまでの取組と現状把握を行い,これからのまちのライフスタイルを共有した. 平成27年度は,前年度の活動状況を基に,これからのまちに必要な機能と体制に関し,ステークホルダーと勉強会や県外の事例視察,情報交流を行なった. 具体的には,地図を用いたワークショップを開催し,参加者(住民,NPO,行政)にとっての地域資源とその意味,ニーズ,考えられる機能や体制を検討した. そこでは,①物資的資源として;活用できそうな空家,遊休施設,広場を絞込み,②人的資源として;まちづくり市民事業のプレイヤー(住民,移住者),サポーター(周辺住民,来街者,SNS上のファンなど),コーディネーター(NPO,専門家など)との関わり方を検討した. 同時に,③各プレイヤーが現在取組む活動(文化活動,伝統工芸品製作,農業,食養,福祉分野)をまとめ,④ゲストハウスやコモンスペースの事例視察(奈良県内,東京)を行い,初瀬での展開や実現可能性を検討した. また,⑤情報発信として;初瀬に関心のあるサポーターに対し,コミュニティに関する情報発信を,移住者体験談,まちあるき,空家見学など対面やSNSで行った. その結果,大きな方針として,タウンコレクティブ型の場(1棟の空家に複数の機能を持たせ地域に開く)をつくること,現事業のプレイヤーやそのサポーターがステークホルダーとなり,地域をつなぎ,支える先行事例を示し,段階的に他の空家へ展開していく可能性が整理された.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,調査研究の成果を,定住促進や高齢者支援の分野に生かし,初瀬門前町周辺地区まちづくり基本計画の検討ワーキンググループとして,地元NPO・大学・行政と連携し,移住者や高齢者と共に,コミュニティの具体的な場(町家, 空間)における事業検討支援を遂行する. また,これまでの成果を学会で報告する.
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