2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of practical crime prevention learning program to ensure the safety of elementary school students
Project/Area Number |
26750017
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中迫 由実 熊本大学, 教育学部, 准教授 (30464275)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 防犯学習 / 小学生 / 教材 / パーソナルスペース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、小学生を対象とした犯罪に対する危機回避能力を高めるための実践的教材を作成することを目的としている。知らない人からの声かけへの対処法を考えると同時に、知り合いからの声かけのリスクや対処法について考えることを視点として取り入れた。 平成29年度は高学年児童を対象とし、家族以外の他者とコミュニケーションを取りつつ自分の身を守る方法について考える教材2編を作成し、うち一編は小学校で実践を行いワークシートや事後アンケートにより評価を行った。 作成教材は、場面でのジレンマを考える思考型と対人距離を体験し、動画教材により見知らぬ人への対処方法を実践する体験型の2編である。思考型は顔見知りから誘いを受ける状況を設定し、誘いを断らなかった時のリスクや断る時のジレンマについてクラスで議論を行った。また思考の流れに沿ったワークシートを作成し、断り方や断らない時のリスク回避の方法を考えさせた。体験型は、パーソナルスペースの計測により、人の接近が気付きにくい方向を確認し、距離をキーワードに作成した動画を視聴し、ロールプレイによって対処方法を習得するようにした。 実践は、思考型教材を用い、平成30年1月に熊本市内の小学校5年生1クラス(32名)を対象に実施した。誘いに対して始めの判断では賛否が半数に分かれており教室内での議論が進んだ。誘いを受けた時のメリットとリスクの議論では、事件へ巻き込まれることへの懸念を多くの児童が認識しており、加えて交通事故や家族への気遣いなど想像力を働かせた回答も見られた。メリットとリスクを確認した上での判断は、リスクを回避する対策を想定した回答もみられるなど判断への変化が見られ、クラスでの議論が影響したものと思われる。一方で、少数ではあるが十分に危険を想像することができない児童が存在し教材や授業を展開の改善の必要性を認識した。
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