2014 Fiscal Year Research-status Report
黄色ブドウ球菌の毒素産生の制御:にぎり飯で食中毒を起こさないために
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26750021
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
筒浦 さとみ お茶の水女子大学, 生活科学部 食物栄養学科, 助手 (20708622)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / エンテロトキシン / グリシン / 初発菌数 |
Outline of Annual Research Achievements |
黄色ブドウ球菌は食品中で増殖し、増殖に伴って毒素エンテロトキシンA(SEA)を産生する。日本では、米飯食品においての黄色ブドウ球菌食中毒が毎年みられる。黄色ブドウ球菌を添加した米飯を様々な条件で保存し、黄色ブドウ球菌の分布やSEA量、SEA遺伝子発現など詳細に調べることで、にぎり飯の適切な保存時間や保存条件を決定する重要な基礎データを得ることを目指している。そこで今年度は、米飯において色々な環境要因がSEA産生に及ぼす影響とにぎり飯の実際の大きさがSEA産生に及ぼす影響について調べることを目的として、米飯への菌の付着量とグリシンの影響について調べた。菌の付着量については、付着量が多い場合と少ない場合では、いずれでも37℃で4~6時間程度の保存初期段階からSEAを検出しはじめ、菌の増加に伴ってSEA産生も増加した。しかし、米飯への菌の付着量が多い際には、少ない場合よりもSEAは多く産生された。また、米飯においての菌の生育とSEA産生については菌株によって大きく異なった。グリシンは食品添加物としてもよく知られている。グリシンを飯重量の1~2%添加して実験を行ったところ、SEA産生は保存初期段階にはコントロールに比べ、若干の抑制傾向がみられた。しかし、最終的には菌はコントロールと同程度まで生育し、SEAが産生された。一方、飯重量の5%のグリシン添加では菌の生育、SEA産生ともに抑制された。今後はSEA産生に対する他の環境要因の影響について調べるとともに遺伝子発現量を測定するための検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標であった米飯におけるSEA産生に対する環境要因の影響に関して滞りなく実験を行うことができた。また、実際のにぎりめしの大きさについても予備検討を現在行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、米飯中における黄色ブドウ球菌の生育やSEA産生に対する塩分濃度やpHの影響について具体的に調べ、SEA産生の抑制に効果的な条件を探すとともに、実際のにぎりめしにおいての予備検討で決定した条件を用いて、実際の食中毒を想定した大スケールの実験を行う。リアルタイムPCRを用いたmRNA定量のための予備検討についても進めていく。
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Causes of Carryover |
2015年2月にインキュベーターの購入を予定していたが、購入しなかったため。その時期に現在所属している研究室のインキュベーターに空きがあり、実験に支障がなかったため、そのまま使用し、研究を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に予定していたインキュベーターを本年度に購入予定である。
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