2015 Fiscal Year Research-status Report
マンネンタケ水抽出物に含まれる酵素の発現挙動および酵素化学的解析
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26750024
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
熊倉 慧 高崎健康福祉大学, 公私立大学の部局等, 助教 (80516930)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | きのこ / マンネンタケ / 酵素 / プロテアーゼ / グルコシダーゼ / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、グルタミン酸プロテアーゼおよびエンド-β-1,3-グルカナーゼを中心に研究を推進した。また、実験室スケールでの人工栽培に成功した。 実験室スケールでの人工栽培に関して、子実体栽培に成功した。その結果、菌糸体から子実体収穫後までの各ステージおよび部位別のtotal RNAを回収でき、酵素遺伝子の各ステージにおける発現解析が可能となった。 グルタミン酸プロテアーゼに関して、取得した完全長cDNA配列情報を解析した。また、RT-PCR法を用いて、菌糸体から子実体収穫後まで遺伝子発現解析を行った。その結果、本酵素遺伝子のアミノ酸配列は、JGIデータベースの55731 Ganoderma sp cDNAと比較して94%の相同性を示した。また、Dichomitus squalens のacid proteinaseに対しては87%、Trametes versicolor のaspergillopepsinに対しては72%、そして、Dichomitus squalens のaspergillopepsinに対しては70%の相同性を示した。これらの結果から、本グルタミン酸プロテーゼは硬質きのこにおいて高く保存されている遺伝子であることが明らかになった。また、RT-PCR法を用いて、菌糸体から子実体収穫後まで遺伝子発現解析を行った。その結果、菌糸体から成熟した子実体までその発現が確認された。一方、収穫後では発現は確認されなかった。 エンド-β-1,3-グルカナーゼに関しては、各ステージおよび部位別での遺伝子発現解析 をRT-PCR法を用いて行った。その結果、子実体収穫後1週間でその発現が確認された。一方、菌糸体から子実体成熟までの発現は収穫後のそれと比較して弱かった。この結果から、本酵素が子実体収穫後の自己消化に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は平成27年度の研究の推進方策に従い、おおむね順調に進展していると思われる。大きな目標であった各ステージにおけるtotal RNAの収集に成功し、目的とする両酵素において、各生育ステージにおける遺伝子発現を確認した。研究の進展が困難であった点としては、エンド-β-1,3-グルカナーゼにおいて、発現解析におけるPCR条件の検討(プライマー設計も含む)が必要であった点と、実験室スケールでの人工栽培への取り組みにおいて、子実体原基から子実体形成への栽培条件を検討した点があげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もグルタミン酸プロテアーゼおよびエンド-β-1,3-グルカナーゼを中心に研究を推進する予定である。グルタミン酸プロテアーゼに関しては、リアルタイムPCRを用いて各ステージにおける発現量解析をおこなう。さらに得られたcDNAを大腸菌に組み込み、組換えタンパク質として目的酵素の取得、機能解析を試みる。 エンド-β-1,3-グルカナーゼにおいては、RACE(rapid amplification of cDNAends)法を用いて、完全長cDNA配列情報の取得を試みる。そして、グルタミン酸プロテアーゼと同様にリアルタイムPCRを用いて各ステージにおける発現量解析、大腸菌を用いた組換えタンパク質としての本酵素の取得を試みる予定である。 マンネンタケ子実体水抽出物中に存在が確認されたエンド-β-1,3-グルカナーゼ以外のβ-N-アセチルヘキソサミニダーゼ(GH 20)、α-1,2-マンノシダーゼ(GH 47)、ソウマチン様タンパク質(GH 64-TLP-SF)遺伝子についてもクローニングを試みる。 また、本年度は最終年度であることからも、研究成果の発表にも努めていきたい。
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Causes of Carryover |
実験器具や試薬等を購入する際は、商品価格を比較し、安価なものやキャンペーンを利用し、購入したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の推進方策に従い、物品費で当該物品を購入し、適せん使用、研究を円滑に遂行する。旅費・その他に関しては、成果発表、資料収集、研究打ち合わせ等に使用する。また、最終年度であるため、本研究成果を論文投稿という形で発表できるよう努めていきたい。
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Remarks |
高崎健康福祉大学 健康福祉学部 健康栄養学科 教員紹介 熊倉慧 http://www.takasaki-u.ac.jp/p_eiyo/1491/
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Research Products
(1 results)