2014 Fiscal Year Research-status Report
小麦粉製品の低アレルゲン化に向けた調理条件の提案と経口減感作療法への検討
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26750026
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
赤石 記子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 助教 (70459593)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小麦粉 / 調理 / 食物アレルギー / 低アレルゲン化 / 加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
小麦粉製品の調理加工による低アレルゲン化についてはまだまだ未解明な部分が多く、調理条件による抗原の変化を明らかにすることは喫緊の課題である。本研究で得られた成果を低アレルゲン化製品の実用化に発展応用させ、アレルギー児と保護者のQOL向上をめざすことを目的としている。 当該年度は、クッキー製品の嗜好性を維持しながらより低アレルゲン化する調理条件(発酵方法、加熱温度、加熱時間)を官能評価から検討し、次年度の抗原量測定、抗原性の評価に用いる試料の選定を主に行った。 これまでの研究でパンの発酵種に使用し、抗原量の低下が期待できた発酵液(ヨーグルト、麹)で予備発酵させた小麦粉バッターを原料に菜種油と砂糖を合わせて、焼成温度を180℃又は200℃と焼成時間を7,9,13,15分と変えた薄焼きクッキーを調製した。発酵液を添加しないクッキーを基準クッキーとして、外観、におい、風味、硬さ、総合評価について5段階評価を実施した。 ヨーグルト発酵液クッキーはいずれの温度でも焼成時間が7、9分加熱では生焼けとなり、クッキーとしては不適当であった為、13分と15分の焼成時間とした。官能評価では、180℃及び200℃15分焼成クッキーが外観、におい、風味、総合評価で有意に好ましくない結果となった。麹発酵液クッキーは180℃及び200℃7分焼成クッキーで焼き色が薄く、硬さ、総合評価でも好まれなかった。以上より、嗜好性が維持でき、低アレルゲン化が見込まれる調理条件としてヨーグルト発酵液クッキーは180℃及び200℃13分加熱、麹発酵液クッキーは180℃及び200℃9分加熱を今後の測定試料として決定した。 また、ELISA法による抗原量の測定についても行ったが、次年度、測定回数を増やし、結果を確認していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
発酵液を添加することで、予想以上に調理条件設定に時間を要した。 また、平成26年12月末から27年3月末まで産休により研究活動を中断していた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の実施計画で行う予定であった、製品の色度や硬さについて機器測定を行うこと、抗原量をELISA法で定量することをまず行う。 ELISA法についてはこれまで、グリアジンを指標とするキットで行ってきたが、抗原量の全体像を見るには数種の抗原を定量することができる他社キットでの測定も検討している。 得られた結果より、現在、経口減感作療法の中で使用されている“ゆでうどん”の抗原量に対して、どの程度にあたるのかを明らかにする。そして、小麦アレルギー患者血清とのイムノブロッティング試験へ進めていきたい。
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Causes of Carryover |
平成26年12月23日から平成27年3月27日まで産休を取得していたため、妊娠期間も含め、研究の進行に遅れが生じているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度で行う予定であった実験の物品費に充てる。 物品費(1,618,000円)、旅費(49,200円、日本調理科学会参加予定)、謝金(120,000円、論文作成における専門知識の享受)、その他(54,000円、試料送料など)
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Research Products
(3 results)