2015 Fiscal Year Research-status Report
小麦粉製品の低アレルゲン化に向けた調理条件の提案と経口減感作療法への検討
Project/Area Number |
26750026
|
Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
赤石 記子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 助教 (70459593)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 小麦粉 / 調理 / 食物アレルギー / 低アレルゲン化 / 加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
小麦粉製品の調理加工による低アレルゲン化についてはまだまだ未解明な部分が多く、調理条件による抗原の変化を明らかにすることは喫緊の課題である。本研究で得られた成果を低アレルゲン化製品の実用化に発展応用させ、アレルギー児と保護者のQOL向上をめざすことを目的としている。 当該年度は、昨年度決定した焼成条件(160℃、180℃及び200℃)で発酵液添加クッキーを作成し、色度や硬さについての機器測定と抗原量測定を主に行った。また、小麦粉製品として発酵液添加小麦粉ソースについても物性と抗原量の測定を行った。 普通小麦粉を用いて、ヨーグルト発酵液添加クッキー及び麹発酵液添加クッキーを作成し、発酵液を添加しない基準クッキーと比較した結果、焼成前後の物性(破断エネルギー)は類似しており、発酵液添加クッキーは基準と劣らないクッキーであることが示唆された。また、基準クッキーとヨーグルト発酵液添加クッキー間での抗原量の差は確認できなかったが、高温加熱のクッキーでは低アレルゲン化が確認された。 また、発酵液を添加した加熱条件の異なる(120℃、180℃)ソースを調製し、製品の物性と抗原量を比較検討した結果、発酵液添加ソースは基準ソースに比べ、120℃ソースでは基準ソースと比べて,麹・ヨーグルト発酵液を添加したソースのG’(貯蔵弾性率),G”(損失弾性率)は共にわずかに低値を示した。180℃ソースでは基準ソースと比べて麹・ヨーグルト発酵液を添加したソースのG’,G”は共にわずかに高値を示し、粘弾性に違いが見られた。基準ソースと発酵液添加ソースの抗原量に有意差はなかったが、基準ソース180℃加熱のブラウンソースで低アレルゲン化がみられ、高温で加熱することで低アレルゲン化につながると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年12月末から27年3月末まで産休により研究活動を中断しており、全体の研究遂行に遅れが生じているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
普通小麦の製品では加熱条件による低アレルゲン化は確認できたが、発酵液による影響は認められなかった。そこで、普通小麦の原種で、良好な嗜好性と抗酸化性の高いとされるスペルト小麦についても同様の抗原量の測定と物性試験を行うことを考えている。さらに低アレルゲン化が認められた試料に対して小麦アレルギー患者とのイムノブロッティング法による抗原抗体反応試験を行い、調理条件によるアレルゲン性の強弱を明らかにしたい。
|
Causes of Carryover |
平成26年12月23日から平成27年3月27日まで産休を取得していたため、妊娠期間も含め、研究の進行に遅れが生じているため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費(1,222,986円)、旅費(49,200円、日本調理科学会参加予定)、謝金(120,000円、論文作成における専門知識の享受)、その他(54,000円、試料送料など)
|