2014 Fiscal Year Research-status Report
ラッカセイ種皮プロシアニジンの糖吸収抑制機能および抗菌メカニズムの解析
Project/Area Number |
26750027
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
田村 倫子 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (60451845)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ポリフェノール / ラッカセイ種皮 / プロシアニジン / 重合度 / 腸管 / DNAマイクロアレイ / 抗菌スペクトル / Bacullus cereus |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果の具体的内容 本研究の目的は、食素材の非可食部有効利用の観点から、ラッカセイ種皮ポリフェノールの血糖上昇抑制作用および抗菌作用を検討することである。血糖上昇抑制作用において、特に本年度はポリフェノールの構造(重合度)の違いが、腸管からのグルコース透過にどう影響するかCaco-2細胞を用いて明らかにした。単量体の(+)-カテキンに比較して、3量体プロシアニジンは腸管からのグルコース透過を有為に阻害した。この結果と、これまでに得ていた動物実験の結果を合わせ、論文を発表した。 次に、ラッカセイ種皮ポリフェノールの更なる生理作用を追及するため、抗菌作用について検討した。特に本年度は、グラム陽性と陰性の細菌を用いた抗菌スペクトルを作成した。ラッカセイ種皮ポリフェノールは、グラム陽性菌に対して抗菌活性を示すことがわかった。そこでグラム陽性の食中毒細菌であるBacillus cereusに対する抗菌メカニズムを明らかにするため、3量体プロシアニジンに暴露した際のBacillus cereusの全RNAを抽出し、マイクロアレイに供した。 研究成果の意義と重要性 プロシアニジンは、腸管からのグルコース透過を抑制することがわかり、その抑制効果の強いプロシアニジンの構造を確認することができた。日常の食生活により未然に疾病を防ぐことを目的とした食品開発の基礎データを得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標の1つ目は、プロシアニジンの重合度の違いがグルコース腸管吸収に与える影響を検討し、これまでの動物実験のデータと合わせて論文を発表することであった。これを達成し論文を発表した。 目標の2つ目は、ラッカセイ種皮ポリフェノールの抗菌活性を、抗菌スペクトルを作製することで明らかにし、プロシアニジンの抗菌メカニズムの網羅的解析を行うための準備を行うことであった。実際は、抗菌スペクトルを作製した後、3量体プロシアニジンにBacillus cereusを暴露し、その際のBacillus cereusの全RNAを抽出し、マイクロアレイに供するところまで行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
DNAマイクロアレイ解析を行うことで、ラッカセイ種皮ポリフェノールの抗菌メカニズムを明らかにする。 解析は、GeneSpring GX11.5による 正規化後、解析ソフトRで統計解析する。Fold changeだけではなく、一定量以上の発現量を有する遺伝子のみを解析の対象とするなど、遺伝子の抽出方法を工夫する。 発現変動が認められた遺伝子に対しては、DAVIDによるGene Ontology (GO)に基づく濃縮度解析、NCBIより提供されているClusters of Orthologous Groups of proteins (COGs)で機能分類する。ポリフェノールはタンパク質との結合性が高く、かつ金属をキレートするため、各種トランスポーターに影響して呼吸系・栄養素の吸収・分裂など何れに影響するか検討するとともに、鉄欠乏など金属イオンに対する応答にも着目する。さらに、毒性物質の産生や胞子形成の有無といった食の安全性につながる代謝産物に関わる遺伝子の変動についても着目する。 大きく変動が見られた代謝系についてはRT-PCRにより遺伝子発現変動を定量化するなど、抗菌メカニズムを追及する。
|
Research Products
(1 results)