2014 Fiscal Year Research-status Report
食後の血管炎症とmiRNA発現変動に着目した食品の新たな動脈硬化予防機構の検討
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26750038
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
岸本 良美 お茶の水女子大学, お茶大アカデミック・プロダクション, 寄附研究部門准教授 (70600477)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / ポリフェノール / 血管内皮細胞 / 飽和脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の取り組みとして、血管内皮細胞(HUVEC)にパルミチン酸刺激を行い、濃度ならびに時間をふり細胞生存率、活性酸素種産生、炎症性サイトカインや接着分子等の遺伝子発現、そしてmiRNA発現を検討した。パルミチン酸刺激により、濃度ならびに時間依存的に細胞生存率が低下したが、ポリフェノールによる改善が認められた。接着分子ICAM-1ならびにVCAM-1、またCOX-2のmRNA発現が増加したが、ポリフェノールにより抑制された。興味深いことに、パルミチン酸刺激により、いくつかの抗酸化酵素が顕著に増加し、ポリフェノールによりさらなる増加が見られた。 また、脂肪摂取後の末梢血単核球よりRNAを抽出し、遺伝子発現量の変化を検討した。その結果、炎症性サイトカインならびに脂質代謝に関連する遺伝子の発現増加傾向が認められた。さらにそれらをターゲットにしうるmiRNAを検索した。 本研究より、飽和脂肪酸であるパルミチン酸刺激により、血管内皮細胞における炎症や細胞死が惹起されること、ポリフェノールの中にはそれらを抑制する作用を有するものがあることが明らかとなった。また、ヒトが脂肪を摂取した際にも、末梢血単核球において炎症性サイトカインのmRNA発現が増加する可能性が示された。現在、変動したmRNAと関連するmiRNAについて検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血管内皮細胞や脂肪摂取後の末梢血単核球において、脂肪酸やポリフェノールに対する興味深い応答を見出したが、miRNAの関与についてはまだ明らかにできていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
血管内皮細胞において、本年度の成果から注目すべき遺伝子発現が絞りこめたので、今後はそれらをターゲットにするmiRNA発現の検討を進める。 また、本年度得た脂肪摂取後の血漿ならびに末梢血単核球を用いて、mRNAならびにmiRNA発現変動を詳細に検討する。
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