2015 Fiscal Year Annual Research Report
高脂肪食による糖尿病発症機序における細胞内アミノ酸濃度センサーGCN2の役割
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26750040
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木村 真希 (小柳真希) 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40623690)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アミノ酸 / mTORC1 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人2型糖尿病患者でGCN2のSNPと2型糖尿病に有意な相関が報告された。GCN2はアミノアシル化されていないuncharged tRNAが結合する事で活性化される分子で、マウス各組織の比較では、特に膵島で強く発現していた。我々は膵β細胞におけるGCN2の役割と2型糖尿病発症の関与を考え、解析を行った。方法は、被験者113人でグルコースクランプ法を行った。また、全身性GCN2ホモ欠損マウス(GCN2-/-マウス)を作製し解析した。 GCN2のSNPの有無による耐糖能の変化をクランプにより評価した結果、リスクアリルをもつ群でインスリン分泌の指標が有意に低下していた。高脂肪食(HFD)で飼育したGCN2-/-マウスの解析では、耐糖能の悪化と膵β細胞量の減少、膵島におけるmTORC1活性の亢進とインスリンシグナルの減弱化が明らかとなった。その機序を明らかにするため、通常食(NCD)とHFDで飼育したマウスの膵島で比較すると、HFDマウスの膵島でGCN2が有意に活性化していた。HFD下の膵β細胞では、NCD下と比較し、複数のアミノ酸の濃度が有意に低下しuncharged tRNAが増加した。 HFD GCN2-/-マウスは膵β細胞量の減少を示し、mTORC1シグナルの慢性的な活性化が、ネガティブフィードバックを介してインスリンシグナルの低下から膵β細胞量減少を引き起こす一因であると考えられた。HFDの膵β細胞内でインスリン蛋白の翻訳が亢進してアミノ酸が消費され、free tRNAの増加を介しGCN2が活性化させる事が高脂肪食下の膵β細胞量の維持に関与している可能性がある。
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Research Products
(3 results)