2015 Fiscal Year Research-status Report
日常食成分としてのグリセロリン脂質による免疫調節ネットワークの解明
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26750044
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
稲福 征志 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 研究員 (90457458)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 食事性リン脂質 / ホスファチジルイノシトール / T細胞 / コンカナバリンA |
Outline of Annual Research Achievements |
ホスファチジルイノシトール摂取群の脾臓由来T細胞亜群の細胞数およびそれらT細胞亜群の未刺激下における炎症性サイトカイン発現能は対照群と差は認められなかった。しかしながら、In vitroにてT細胞マイトジェンであるコンカナバリンAにて脾臓由来T細胞亜群を刺激すると、CD4陽性T細胞中のTNFおよびIFNγ強発現細胞数とCD8陽性T細胞のIFNγ強発現細胞数の増加が認められる。それら炎症性サイトカイン強発現T細胞数の増加はホスファチジルイノシトール摂取によって抑制されることが明らかとなったが、それら強発現細胞の一細胞あたりの炎症性サイトカイン発現能に変化は認められなかった。コンカナバリンA刺激によるT細胞亜群の炎症性サイトカイン強発現においては、CD3/CD28によるT細胞受容体刺激を重ねることによって強発現細胞数の増加、および一細胞たりのサイトカイン発現能の増強が認められる。本研究では、このT細胞受容体刺激による炎症性サイトカイン発現能の増強はホスファチジルイノシトール摂取によって抑制されることが明らかとなった。一方で、T細胞受容体刺激に変わって細胞内のサイトカイン発現シグナルの増強をプロテインキナーゼCおよびカルシウムイオノフォアによって刺激を行うと、ホスファチジルイノシトール摂取によるT細胞亜群の炎症性サイトカイン発現抑制はキャンセルされることも明らかとなった。従って、食事性リン脂質によってT細胞の細胞膜形質が変化して、T細胞受容体などの細胞膜受容体からのシグナル伝達に変動が生じることが示唆される。また、これらの結果は、ホスファチジルイノシトール摂取によるコンカナバリンA誘導性肝炎の発症抑制にT細胞の機能変動が関与していることを支持するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は「標的細胞の機能変動」についての基盤データを収集して、その機能変動に関与する分子機序について明らかにする計画であったが、細胞膜の性質(脂肪酸組成など)について明らかとするには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
T細胞の機能変動に焦点をあてて、細胞膜受容体からの免疫活性化刺激の変化について議論して、当該申請研究の目的を達成する。
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Causes of Carryover |
施設の設備故障により、計画通りに研究を実施することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に実施する計画であったが、未実施となっている食事性リン脂質種毎の細胞機能変動機序の解明に必要となる消耗品の購入に使用する。
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