2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of dietary glycerophospholipids on immune systems
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26750044
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
稲福 征志 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 協力研究員 (90457458)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グリセロリン脂質 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体膜の主要構成成分の一つであるリン脂質は、我々ヒトが摂取する食事性脂質の約3~8%を占めるとされる。リン脂質の栄養生理作用は中性脂質よりも有益であることが数多く報告されているが、免疫動態に及ぼす影響についての報告は数少ない。当該研究は、食事性グリセロリン脂質の基本構造による免疫調整機能の差とその作用機序の解明を行った。実験には大豆由来の中性脂質とグリセロリン脂質3種を用いて、各脂質摂取による発現機能を比較した。その結果として、リポポリサッカライド(LPS)やコンカナバリンA(ConA)の投与による血中の炎症性サイトカインの上昇は、グリセロリン脂質の摂取によって大きく影響を受けることが明らかとなった。ホスファチジルコリンやホスファチジルイノシトールの摂取は炎症抑制効果を、ホスファチジルセリンの摂取は炎症促進効果を示していた。特に変動が顕著であった炎症性サイトカインはインターフェロンγ(IFNγ)であった。ホスファチジルイノシトール摂取マウスの脾臓においてはT細胞数が対照群よりも有意に増加していた。脾臓由来のT細胞を回収して、そのIFNγ産生能について解析を行ったところ、免疫刺激剤による活性化に変化が生じていることが確認できた。T細胞マイトジェンであるConAやCD3/CD2によって細胞外からの刺激による活性化を施した際には、PI摂取マウスのT細胞活性化が鈍化していることが確認できたが、PKC活性化因子とカルシウムイオノフォアによる細胞内刺激による活性化は変化していなかった。これらの結果は、食事性リン脂質はT細胞機能性、特に抗原提示細胞からの刺激経路に影響を与えて、免疫動態に影響を与えていることを示すものであった。
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