2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26750046
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
佐久間 理英 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (10551749)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 食事性リン / 血中リン濃度 / 24時間蓄尿法 |
Outline of Annual Research Achievements |
高リン血症は血管石灰化の促進因子であり、日本人における死因の上位を占める心血管疾患や脳血管疾患の発症に強く関与している。食生活の多様化により、リン過剰摂取の危険性が高まっている昨今、血中リン濃度の適正な管理は緊急課題である。食事療法による血中リン濃度の管理において、リン摂取量の把握は必須であるが、その手法は確立されていない。2014年度の研究により、24時間蓄尿法により、尿中のリンおよび尿素窒素排泄量を用いることでリン摂取量推定の精度を上げられることを明らかとした。しかし本法により算出したリン摂取量が、蓄尿日1日分を反映するのか、数日間の平均値を反映するのかは不明である。そこで2015年度は、24時間蓄尿法により推定したリン摂取量がどの程度の期間を反映するのかを明らかとし、本法の活用範囲を明確とすることを目的とした。 健常な若年男性8名を対象とし、連続した5日間の試験食負荷試験を行った。1~5日目においてリン含有量が既知である同一の試験食負荷および24時間蓄尿を実施した。3日目のみ試験食摂取時にリン酸溶液 (1食150㎎、1日450㎎)を摂取させ、高リン負荷とした。各試験日の翌朝、24時間蓄尿サンプルの回収および早朝空腹時採血を行った。試験食中のリン含有量と24時間尿中リン・カルシウム排泄量および血中リン・カルシウム代謝指標の関連性を評価した。 尿中リン排泄量は、リン摂取量が同一であった2, 4, 5日目においてほぼ同等の値を示したが、高リン食を負荷した3日目において有意に増大した。血清副甲状腺ホルモン濃度は高リン食を負荷した3日目においてわずかに上昇した。血清FGF23濃度は高リン食負荷に伴う変動がみられなかった。 本研究結果より、食事から摂取したリンは、概ね1日で尿中へ排泄されることが明らかとなり、24時間蓄尿法は短期間のリン摂取量評価の指標として有用であると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究により生じた、24時間蓄尿法によるリン摂取量推定式の適用範囲 (期間) を明らかにするという課題に対し、実験に取り組み、解明することが出来たため、概ね順調に達成できていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
血中リン濃度の管理に適したリン摂取時間の解明を目的として、ヒトを対象とした食品の負荷試験を行う。対象者に対し、朝食・昼食・夕食として同一の試験食を摂取した場合における、血清リン濃度および尿中リン排泄量を評価し、血清リン濃度の上昇をきたし易い時間 (リン摂取を避けるべき時間)を明らかにする。また近年、夜間飲食者が増加しているため、このような食習慣がリン代謝動態へ影響を及ぼすかについて評価する。
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