2014 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性腎症に対する低たんぱく食療法におけるエネルギーバランスの検討
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26750047
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
吉田 卓矢 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80622448)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 高脂肪食 / 高炭水化物食 / ストレプトゾトシン / エネルギー比率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、糖尿病性腎症の食事として低たんぱく食を行う際に、エネルギーを充足させる栄養素として炭水化物と脂質のどちらが有用であるか明らかにすることを目的とした基礎研究である。平成26年度は、SDラットにストレプトゾトシン(STZ)を投与して糖尿病を誘発し、その後片腎摘除により腎機能を低下させた2型糖尿病性腎症(DN)モデルを作製して高脂肪食と高炭水化物食の有用性を検討した。また、本研究ではコントロールとしてSTZの溶媒に用いたクエン酸バッファーの投与および開腹のみのsham手術を行ったラットの群も用意した。DNラットおよびコントロールラットは、それぞれ高脂肪食(たんぱく質(P):脂質(F):炭水化物(C)=6.1%:40%:53.9%)と高炭水化物食(P:F:C=6%:15%:79%)を与える群に分け、全群のエネルギーおよびたんぱく質摂取量が同量になるようにペアフィードして飼育した。試験食を9週間与えて食餌中の脂質と炭水化物の比率の違いによる腎機能および筋肉量への影響を検討した。その結果、高脂肪食を与えたDNラットは高炭水化物食を与えたDNラットよりも血漿中性脂肪が増加した。また、高脂肪食を与えたDNラットでは高炭水化物を与えたDNラットよりも腎機能が低下した。さらに腎臓を組織学的に検討したところ、高脂肪食を与えたDNラットでは他の3群で見られなかった尿細管への脂肪の蓄積が見られた。また尿細管への脂肪の蓄積が顕著なラットでは糸球体や尿細管の障害も顕著であった。以上の結果より、エネルギー摂取量が同量であっても高脂肪食は糖尿病性腎症を悪化させることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はストレプトゾトシンで糖尿病を誘発したラットを用いて、糖尿病性腎症に対する食餌中の脂質と炭水化物の比率の差が腎機能と筋蛋白代謝に与える影響を検討する予定であった。本年度予定していた実験はほぼ実施できたためおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ストレプトゾトシンで誘発した糖尿病モデルラットにおいて高脂肪食が腎機能低下に関与していることが明らかになった。今後は遺伝的にインスリン抵抗性および2型糖尿病を発症し、腎症を合併するHos:ZFDMラットを用いて炭水化物と脂質のエネルギー比率の違いによる糖尿病性腎症への影響を検討する。
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