2014 Fiscal Year Research-status Report
高血糖の母親から生まれた仔の心臓におけるエピジェネティクスコードの解析
Project/Area Number |
26750054
|
Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
河原田 律子(那須律子) 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 助教 (60383147)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 糖尿病 / 妊娠 / EPA |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児期の高血糖が生まれてきた仔の心臓の分子シグナルの異常を引き起こすことから、心臓の発生過程でゲノム上のエピジェネティクスコードが書き換えられた可能性が考えられる。本研究は新生児の心臓から単離した初代心筋培養細胞を用いて、仔に伝わるエピジェネティクスコードを下記の手法により解明することを目的とする。 モデル動物として、妊娠4 日目にストレプトゾトシンを尾静脈に投与し作成し、糖尿病に妊娠モデルラット(母ラット)を作成した。母ラットには、妊娠中にPBSあるいはEPAをそれぞれ与え、生まれた子供を実験に用いた。生まれた仔から心臓を24時間以内に摘出し、初代心筋培養細胞を作成した。心臓をトリプシンおよびコラゲナーゼ処理して得られた細胞群からdifferental adhesion 法により分離して得た初代心筋細胞をM199 培地にて培養した。この細胞を用いて検討した結果、Aktに関連するシグナルは、コントロールラットより低下したが、親のEPA投与により増加した。また、IDMの心臓では、多くのタンパク質の糖化(AGEs化)が促進されたが、親のEPA投与によりAGEs化を抑制した。 これらのことから、子宮内が長期間に渡り高血糖に曝されることにより起こるタンパク質のAGEs化が、シグナルに関わる酵素の機能を阻害する事でインスリンシグナル異常を引き起こし、EPAはこのタンパク質のAGEs化を抑制することでインスリンシグナル異常の改善効果を示す可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度に計画していた実験をほぼ行うことが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
モデル動物から作成した初代心筋培養細胞を用いて、メチル化DNA 免疫沈降法(MeDIP-chip 法)による網羅的DNA メチル化解析:初代心筋細胞からゲノムDNA を単離精製し、コバリス社(Covaris inc.)の DNA Shearing システムを用いてDNA 断片化処理を行う。既に完了している網羅的遺伝子発現解析で得られた発現が低下している遺伝子と比較することによりエピジェネティクスコードが糖代謝や心血管系のストレスに関わるシグナル伝達系にどのような影響を与えているかについて考察する。
|
Causes of Carryover |
実験に用いる妊娠動物20匹のうち、実験の都合上、H27に5匹分を移動させる必要があったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物5匹を購入する費用にあてる。
|