2016 Fiscal Year Research-status Report
高血糖の母親から生まれた仔の心臓におけるエピジェネティクスコードの解析
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26750054
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
河原田 律子 (那須律子) 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 講師 (60383147)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | EPA / 糖尿病 / 心臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠中に母親が糖尿病であると、子宮内は高血糖状態にさらされる。その結果、胎児は発生段階で酸化ストレスによりインスリン抵抗性が惹起され、心血管合併症が発症する確率が高くなることが報告されているが、そのメカニズムは十分に理解されていない。 我々は妊娠期に高血糖を呈する動物モデルを作成し、妊娠中に母親が高血糖に曝されることで、生まれてくる仔の心臓にどのような異常が見られるかについて、心臓から単離した初代心筋培養細胞を用いて検討した。さらに妊娠中の母ラットに魚油を摂取させることで生まれた仔の心臓に与える影響を検討した。 その結果、糖尿病母ラットから生まれた仔の心臓ではAktに関連するインスリンシグナルが阻害され、糖の取り込みも低下していた。また、様々なたんぱく質が糖化されており、インスリンシグナル異常を引き起こす原因であると考えられた。また、AGEs化や酸化ストレスの主な原因物質の一つである活性酸素種(ROS)や炎症性シグナル分子のNF-κB、TNFαやIL-6の遺伝子発現レベルが、糖尿病母ラットの仔で上昇していた。エピジェネティクス制御の一つであるヒストンコードに関する検討を行った結果、ヒストン3のK4及びK9のメチル化が促進されていた。しかし、妊娠期にEPAを摂取する事でインスリンシグナル異常やたんぱく質の糖化などの異常は改善された。 初代心筋培養細胞を用いた解析により、子宮内高血糖がもたらすシグナル異常はAGEsやROSによる慢性炎症とエピジェネティクスによる複合的な要因により引き起こされ、妊娠中のEPA摂取により改善する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この研究は研究課題をほぼ達成しているが、ヒストンコードに関して再実験をし、EPAがエピジェネティクス制御に与える影響を詳細に検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作成した初代心筋培養細胞を用いて、エピジェネティクス制御に関わるシグナルを検討する。
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Causes of Carryover |
H28年度に行なったエピジェネティクス解析に関して、解析方法を改善する必要があった。そのため、実験期間の延長が生じ、解析のための費用として持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析に必要な抗体や試薬を購入する。
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Remarks |
補助事業期間延長承認:日本学術振興会承認 平成29年3月21日
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Research Products
(9 results)