2014 Fiscal Year Research-status Report
自律神経活動を指標とした女性の健康状態に食生活改善が及ぼす効果の検証
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26750055
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
多田 由紀 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (80503432)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 女性 / 自律神経活動 / 食事 / 睡眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
月経周期のうち卵胞期、黄体期後期において、食事と睡眠状況を同時に測定し、月経周期に伴う各指標の変動を明らかにすること、さらに食事と睡眠の変動の関連を検討することを目的とした。月経周期の安定した女子大学生25人(平均年齢20.9±0.6歳、平均BMI 20.6±1.7㎏/㎡)が研究に参加した。測定は月経周期のうち、卵胞期と黄体期後期の各期で食事記録、睡眠状況、エネルギー消費量、食行動に関する質問票、月経周期に伴う不快症状の質問票の測定を連続した3日間(平日2日、休日1日)ずつ行った。月経周期を特定するため、測定開始最低1ヶ月前から測定終了まで毎日基礎体温を測定し、排卵日検査薬によって排卵の有無も確認した。また、同意が得られた16人を対象に卵胞期、黄体期の各1日ずつ24時間心電図を測定した。24時間心電図のR-R間隔から自律神経活動指標のLF/HF(交感神経活動)と%HF(副交感神経活動)を算出した。その結果、食品群別摂取量のうち、その他の野菜は卵胞期より黄体期で有意に低値を示し、間食のエネルギー割合および間食の炭水化物摂取量が卵胞期より黄体期で有意に高値を示した。睡眠状況では覚醒エピソードが卵胞期より黄体期で有意に高値を示した。夜間睡眠時の自律神経活動に有意な変動はみられなかった。卵胞期から黄体期への変化量の関連をみると、平日の菓子類によるエネルギー摂取量は間食エネルギー割合と有意に相関し、間食エネルギー割合は平均覚醒エピソードと有意に相関した。夜9時以降に間食を摂取している者が比較的多く見られたため、睡眠直前の間食の摂取による交感神経活動の上昇や、体温の上昇が睡眠の質に影響を与えた可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵胞期と黄体期における夜間の睡眠状況および食事の変動が明らかになり、黄体期に睡眠の質が下がる可能性および就寝前の間食が睡眠状況に影響する可能性が示された。2年目は1年目の観察研究結果から仮説を設定し、食生活改善が夜間睡眠状況に及ぼす影響を介入試験によって明らかにすることを計画していたが、そのための仮説設定および準備が整えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
就寝前のエネルギー摂取量の違いが夜間睡眠状況に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、女子大学生および大学院生を対象に介入試験を行う。就寝前のエネルギー摂取割合が高い群(以下H-NI群)と低い群(L-NI群)における夜間の睡眠状況を比較する。実験食は日本人の食事摂取基準(18歳~29歳)の推定エネルギー必要量等に基づいた規定食を、両群ともに3食提供する。測定項目は①夜間睡眠状況(睡眠効率、自律神経活動など)、②身体計測、③血液検査、④食物摂取状況調査、⑤身体活動状況調査、⑥問診票とする。測定前々日から、カフェイン、アルコール、中等度以上の運動を制限するとともに、23時以前の就寝を依頼する。当日は朝・昼・夕食に規定食を提供し、施設に宿泊させ、23時までに就寝して夜間睡眠状況を測定する。翌朝は7:00に起床し、機器を取り外す。排尿後、採血、身体計測、問診票の記載を行い、朝食摂取後解散とする。 【当初計画通りに進まない場合】対象者全員が同一日程で宿泊して測定することが困難な場合、夜間の睡眠状況は対象者の都合に合わせて自宅で測定することにし、日程管理を柔軟にする。
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Causes of Carryover |
長時間心電図記録機を購入する予定であったが、大学の研究室配分予算から購入することができたため、研究費の使用額が減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度および28年度の介入研究において血液検査の項目を増やし、女性ホルモン分泌量の個人差も加味したうえで結果を吟味したほうがより正確な解析ができると考え、研究計画に組み入れた。
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Research Products
(1 results)