2014 Fiscal Year Research-status Report
血管運動性更年期症状に対する大豆イソフラボンの作用とその作用機序の解明
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26750062
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
東泉 裕子 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 食品保健機能研究部, 研究員 (20360092)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大豆イソフラボン / エクオール / 血管運動性更年期症状 / 骨粗鬆症 / 閉経後女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はエストロゲン欠乏に起因する血管運動性更年期症状、脂質代謝異常症および骨粗鬆症に対する大豆イソフラボンおよびその代謝産物(エクオール)の作用とその作用機序を閉経後モデル動物において明らかにすることを目的とした。最終的に本研究により、ホルモン補充療法を用いることなく食生活の改善による閉経期女性の生活の質の改善を目指す。平成26年度は、エクオールの血管運動性更年期症状に対する作用とその作用機序を閉経後モデル動物において評価した。 11週齢雌性SDラットに偽手術(Sham)、あるいは卵巣摘出手術(OVX)を施し、Sham群、OVX群、OVX+エクオール(EQ)群の3郡に分けた後、AIN-93Mの基本飼料をペアフェッドで与え4週間飼育した。OVXの4週間後、OVX群およびSham群にはAIN-93Mの基本飼料を、OVX+EQ群にはエクオールを0.06%含む飼料をペアフェッドで与え4週間飼育した。血流及び血圧は毎週測定した。4週間飼育後に大腿骨を採取し骨密度を評価した。 エクオール摂取により、エストロゲン欠乏により生じる血流の低下が抑えられる傾向が認められた。一方、血圧に対するOVX及びエクオールの有意な影響は認められなかった。OVXにより大腿骨骨密度は低下したが、4週間のエクオール摂取により骨密度は増加した。とくに海綿骨の多い遠位部の骨密度に対するエクオールの作用が顕著であった。 本研究の結果より、エクオール摂取はエストロゲン欠乏により生じた血流および骨量の低下を改善することで、血管運動系更年期症状および骨密度の改善に寄与する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、エクオールの血管内皮機能への作用として、血流量及び血圧、さらに血管内皮機能に関する遺伝子発現を閉経後骨粗鬆症モデル動物において評価することを研究目的とした。 平成26年度の結果より、閉経後骨粗鬆症モデルラットにおいて、エクオール摂取はエストロゲン欠乏により生じた血流の低下を回復する可能性が示唆された。さらに、エクオール摂取により血中エストロゲン低下に伴う骨密度の低下が抑制される可能性、およびすでに低下した骨密度を回復する可能性が示唆された。しかしながら、エクオール摂取が血管内皮機能に関する遺伝子発現に及ぼす影響を評価できなかったことから、達成度は「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、大豆イソフラボンおよびエクオールの脂質代謝および血管運動性更年期症状に対する作用とその作用機序を閉経後脂質代謝異常症モデル動物において解明する。すなわち、閉経後骨粗鬆症モデル動物に高脂肪食を与え、閉経後脂質代謝異常症モデルを作成する。大豆イソフラボンの血流や骨代謝への作用を1 年目と同様に評価するとともに、血中脂質、肝臓および脂肪中の脂質代謝に関わる各種遺伝子発現を評価する。 また、平成26年度はエストロゲン欠乏によりすでに低下した血流及び骨密度に対するエクオールの作用を検討したが、平成27年度は血流及び骨密度低下抑制に対するエクオールの作用を評価する。 具体的には、①11 週齢雌性SD ラットに偽手術(Sham)、あるいは卵巣摘出手術(OVX)を施し、Sham 群、OVX群、OVX+大豆イソフラボン(ISO)摂取群、OVX+エクオール(EQ)摂取群の4 群に分ける。OVX 群およびSham 群には高脂肪飼料を、OVX+SOY 群はISO 0.1%を含む高脂肪飼料を、OVX+EQ 群はエクオール0.1%を含む高脂肪飼料を与え6 週間飼育する。③ 解剖直前にDXA 法により体組成(脂肪量、徐脂肪量)を測定する。④ 大豆イソフラボンやエクオールの血流や骨代謝への作用を平成25 年度と同様の測定項目で評価する。⑤ 解剖時に肝臓や脂肪を摘出し、脂質代謝に関わるperoxisome proliferator-activated receptor(PPAR)γ、fatty acid synthase(FAS)等の遺伝子発現をReal Time-PCR 法により解析する。
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Causes of Carryover |
平成26年度研究計画通り予算を執行したが、物品購入の際に定価と納入価での差額により+8,216円が生じたため、その分を来年度使用分とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用金(8216円)は平成27年度物品費として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)