2014 Fiscal Year Research-status Report
国際教育協力における映像コンテンツを活用した授業研究モデルの開発
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26750084
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
今野 貴之 明星大学, 教育学部, 助教 (70632602)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育工学 / 教師教育 / 授業研究 / 映像コンテンツ / 国際教育協力 / ウズベキスタン / ヨルダン / フィリピン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際教育協力のモデルのひとつとして、日本の映像コンテンツを活用した授業研究モデルを開発することである。 平成26年度の研究成果は国内外の先行事例・先行研究をレビューし、その知見に基づいて途上国に適する映像コンテンツを抽出したこと、および、日本の視聴者を対象として制作された教育番組が途上国の児童・生徒の教育支援として活用することができるのか、その可能性と課題について検討したことである。具体的には、研究協力者のいるウズベキスタンにて日本の教育番組の二次利用の可能性と課題を明らかにするため、放送番組国際交流センターが保有している教育番組を抽出し、それらがどのように理解(解釈)されるかを調査した。 調査の結果、現地語への翻訳要望はあるが、現状の英語のままでも授業教材として十分に活用できることが分かった。また、これまで映像コンテンツを活用したことのない教師にとって、映像をどのように授業の中にとりいれるか、番組を児童生徒に視聴させながらどのような発問をしていけばよいのか、児童生徒に考えさせる時間をどのタイミングで取り入れれば良いのかという授業設計に関する問題があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は下記の2つの理由から当初の計画以上に進展しているといえる。 ひとつは、本研究の研究協力者や現地の指導主事・教師に、抽出された映像コンテンツを視聴してもらい、現地の教育に適する映像コンテンツの教科・単元を選定すると同時に、それらがどのように理解(解釈)されるかを調査することができたことである。 もうひとつは、同様の調査研究が当初予定していたウズベキスタン以外に、フィリピンとヨルダンでも実施できたことである。これらの国を調査対象とした理由は(1)学校教育において、日常的に電気が使え、映像コンテンツを授業で活用できること、(2)英語を第一外国語もしくは第二外国語として学習していることがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度も引き続き、選定した映像コンテンツを用いて実証研究を行う。授業研究で議論される内容、および、映像コンテンツを授業で用いた教師へ「学習目標と映像コンテンツの関係性」「映像コンテンツを用いる際の問題点」について半構造化インタビューし、それらを分析データとする。データの分析方法は、個々のデータ内容よりも、データ全体がもつ性質に着目するシークエンス分析を採用する。具体的には、議論された内容やインタビューで得られた回答を質問項目・内容ごとに整理したうえで、分類のためのカテゴリを設定し、研究協力者の認識が共通する部分に焦点化した解釈的検討を行う。このような実証研究と分析を繰り返す中で、授業研究において教師が直面する葛藤を明らかにし、その葛藤を解消するためにどのような介入をするべきなのか、アクションリサーチをおこなう。更に、問題点に関連する先行研究を整理し、映像コンテンツが授業で活用されていくプロセスを明らかにし、授業研究モデルを評価・修正する。
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Causes of Carryover |
今年度に執行できなかった予算(11,736円)は、授業研究・視聴覚教材に関する書籍・論文等の購入費である。購入希望の書籍が既に手に入っていたため、その費用を来年度に研究会議のための旅費として執行する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は授業研究のアクションリサーチをおこなうため、ウズベキスタン、もしくは、今年度に調査を行ったフィリピン、ヨルダンへの渡航を予定している。今年度に執行できなかった予算(11,736円)は、来年度の旅費として使用する予定である。
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