2016 Fiscal Year Research-status Report
学習効果最大化を目的とした英文自動添削のフィードバックにおける学習臨界点の特定
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26750091
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
永田 亮 甲南大学, 知能情報学部, 准教授 (10403312)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 学習効果 / 自由記述英作文 / 文法誤り訂正 / 前置詞 / 構文解析 / 綴り誤り |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究成果として得られた英作文データ(24人分約150文書)の分析を推し進めた.まず,当該英文データに誤り情報を付与した.次に,この結果を基に各実験条件と学習効果の関係の分析を行った.その結果,当初の仮説とは異なり,実験条件間に学習効果の差異は見られなかった.
この一番の大きな理由として,実験に使用した前置詞誤り検出/訂正手法が,想定通りの性能では動作せず,学習効果が得られるほどに誤りを検出/訂正できなかったということが明らかとなった.詳細な理由を特定するために,更なる分析を行ったところ,当該前置詞誤り検出/訂正手法の評価実験では想定しない事例・現象(1)幅広い綴り誤り,(2)特殊な構文が,今回の実験では頻出したため言語解析に失敗し,その結果,誤り検出/訂正にも失敗したということが特定できた.
このような状況では,このまま学習効果の測定を続けても,意味のあるデータは得られないため,研究の方向性を少し修正して,前置詞誤り検出/訂正手法の性能改善のための(I)構文解析性能の向上と(II)綴り誤り自動訂正に取り組むこととした.(I)については,今回得られた英文データを基に,学習者の構文的特徴を調査した.また,その結果を基に,学習者の英文向けの構文解析モデルを構築し,構文解析の性能を向上させた.これらの成果を学会で発表した.また,論文として投稿し採択された(本年度中に掲載予定).(II)についても,非常にノイジーな学習者の英文中の綴り誤りを自動訂正する手法の考案を行い,学会発表を行った.更に研究を推し進め論文として投稿する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】のところで述べたように,当初の予想(仮説)とは異なる実験結果となったが,そこでの問題点の解決を探求し,本研究課題の中心である前置詞誤り検出/訂正手法の改善を多角的な面から達成したため,おおむね順調に進展していると評価した.具体的には,得られた英文データの分析と手法の性能改善(前置詞誤り検出/訂正手法を構文解析,綴り誤り訂正の面からの性能改善)を実施した.その成果を学会発表3件(国際学会含む),論文発表2件(採択済み,6月と9月に発行予定)の形で公表した.また,研究の過程で収集,作成したデータも言語資源協会より公開し,社会に還元した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,実験条件により学習効果の差異が出るように,前置詞誤り検出/訂正手法をより改善する予定である.特に,検出率が低いためその部分の解決に取り組む予定である.
また,作成したデータを整理し,関連分野の研究者が再利用できるよう公開していく予定である.
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Causes of Carryover |
おおむね計画通り執行しているが,年度の切り替わりのタイミングで開催された国際学会での発表にかかる旅費が発生しており,その分の執行がまだ済んでいないため,数字上は若干の繰り越しが発生する.なお,当該発表は既に実施しており,研究費執行のための諸手続きも終了済みである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述の通り,繰り越しにかかる予算は既に執行手続き済みである.
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