2014 Fiscal Year Research-status Report
主体的なキャリア形成のための自己効力感を育む相互評価学習実践モデルの構築
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26750093
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Research Institution | Kyoto Bunkyo Junior College |
Principal Investigator |
桑原 千幸 京都文教短期大学, 幼児教育学科, 講師 (90587479)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 相互評価学習のデザイン / 自己効力感の測定 / インタビュー調査 / 学習管理システム構築 / eラーニングの実践と効果検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
A. 相互評価学習の要素と効力感の因果関係:学習者は,キャリア教育における相互評価学習のどの要素で効力感を感じているのかを明らかにするため,半構造化形式のインタビューを実施した.対象は,H26年度前期のキャリア教育科目において相互評価学習に参加した受講生10名であり,一人当たり30分程度をかけて,1対1で聞き取りを行った.インタビューガイドは前年度に実施した予備調査をもとに作成し,主にキャリアプラン作成と発表といった課題の認知と,相互評価をすることについての考え,相互評価学習前後の変容について尋ねた.合わせて,課題に対する効力感を把握するための質問紙調査を行った. B. 相互評価学習システムの検討と開発:所属機関内に設置されたサーバに,学習管理システム(Moodle)をインストールし,構築・設定作業を行った. C. 相互評価学習の授業デザイン検討:授業デザイン検討のため,H25年度のキャリア教育科目について,開講時期によって受講生の進路選択自己効力の変容に差が生じるかを調査した.その結果,後期開講の初年次キャリア教育科目における相互評価学習によって前期と同様に受講生の進路選択自己効力が向上すること,キャリア教育科目の前期受講生は入学からの1年間で進路選択自己効力が向上しているものの,非受講生は後期開始の時点でやや下がり,1年間でほぼ変化がないことが明らかになった.相互評価学習の授業デザインについて,初年次キャリア教育科目における実践は受講時期を問わず進路選択自己効力の向上に有効であるものの,自己効力維持のためには,学習方法の改善やその後のフォローが必要であることが示唆された.本成果は,2014年7月の日本教育工学会研究会において発表された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度途中から研究代表者が産休/育休を取得したため研究の遂行ができず,計画よりもやや遅れている.研究の目的に照らし合わせた達成度は以下のとおりである。 A. 相互評価学習の要素と効力感の因果関係:学習者へのインタビューおよび質問調査を実施し、分析が途中であるため、計画よりやや遅れている。 B:相互評価学習システムの検討と開発:相互評価学習用サーバを設置したが、相互評価学習システムに関する情報収集が進んでいないため、計画より遅れている。 C. 相互評価学習の授業デザイン検討:文献調査は実施できていないが、過去の実践の分析を行い成果を研究会で発表しているので、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
A. 相互評価学習の要素と効力感の因果関係:H26年度の取得データをもとに次の分析を行う.(1)学習者へのインタビューテキストのプロトコル分析,(2)相互評価学習の評価コメントをテキストマイニング手法により分析する,(3) 受講生に対する自由記述形式のアンケートのテキスト分析. B. 相互評価学習システムの検討と開発:国内外で開発・運用されている相互評価学習システムに関する情報を収集し,国内機関を対象とした訪問調査を行う.また,H26 年度の成果をもとに相互評価学習システムの要件を定義する.独自でのシステム開発は時間的制約があり困難が予想されるため,システム開発業者を選定し既存のMoodle システムカスタマイズを検討する. C. 相互評価学習の授業デザイン検討:Bの相互評価学習システムの開発が遅れているため,既存のeラーニングコースの再開発を優先する.eラーニングコンテンツ作成にあたっては,外部委託も活用してコースコンテンツの更新を行う.
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Causes of Carryover |
本年度途中から研究代表者が産休/育休を取得し,研究の遂行および研究費の使用ができなかったため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費:前年度購入予定であった研究用ノートパソコン、Webサーバ一式、書籍等を購入する。旅費:学会発表(3泊4日×2回、徳島・東京)、調査・研究旅費(2泊3日×2回、東京・熊本)、研究会参加・発表(1泊2日×2回)を予定している。人件費・謝金:資料整理、データ分析事前処理等を依頼予定。その他:前年度遂行できなかったWebサイト作成、プログラム作成等を業務委託する。
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