2016 Fiscal Year Research-status Report
主体的なキャリア形成のための自己効力感を育む相互評価学習実践モデルの構築
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26750093
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Research Institution | Kyoto Bunkyo Junior College |
Principal Investigator |
桑原 千幸 京都文教短期大学, ライフデザイン学科, 講師 (90587479)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 相互評価学習のデザイン / 自己効力変容の質的分析 / 相互評価学習システムの改善案 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,自己効力感を育む相互評価学習実践モデルの構築に向けて,対面科目とeラーニング科目におけるこれまでの実践をもとに,相互評価学習の要素と効力感の因果関係の検討,相互評価学習システムの観点からの授業デザインの改善案模索を進めた.以下,研究の目的別に詳細を記述する. A. 相互評価学習の要素と効力感の因果関係:対面授業実践後の受講生のアンケート調査の自由記述から,進路選択課題に関わる相互評価学習を通じて自己効力がどのように変化したか質的に検討したところ,多くの学習者がキャリア意識の変化や効力感の変化を認識しており,特に進路選択課題の遂行そのものと他者から評価を受ける言語的説得を通じて,進路選択に対する効力感を得ていることが示唆された.本成果を,2016年9月の日本教育工学会全国大会にて発表した. B. 相互評価学習システムの検討と開発:対面授業実践後の受講生のアンケート調査をもとに,授業デザインの改善を検討した.システムの使いやすさについて受講生の94.3%が肯定的に回答し,相互評価学習についても肯定的に受け止めていることが分かった.一方で,自由記述の分析から,評価対象者の割当方法,評価入力時間の確保,評価対象選択画面での表示方法,評価入力フォームについてそれぞれ改善の必要性が明らかになった.本成果を,2016年9月の教育システム情報学会全国大会にて発表した. C. 相互評価学習の授業デザイン検討:上記A,Bをもとに,H29年度の授業デザイン・相互評価学習方法の見直しを進めている.また,eラーニング科目の実践における自己効力の変化について,論文を教育システム情報学会に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施期間中に研究代表者が産休/育休を取得したため研究の遂行ができず,計画よりもやや遅れている.研究の目的に照らし合わせた達成度は以下のとおりである. A. 相互評価学習の要素と効力感の因果関係:受講生のアンケート調査をもとにした効力感の変化の質的分析を実施した.H27年度に行った質的調査(半構造化インタビュー)の分析が途中であり,遅れている. B. 対面授業実践後の受講生のアンケート調査をもとに,相互評価学習システムの改善策を検討した.システム開発業者等の選定を進めているが,やや遅れている. C. 相互評価学習の授業デザイン検討:過去のeラーニング科目実践をもとに分析を行い成果を発表したので,おおむね順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遂行が計画よりもやや遅れているため,実施期間の延長を申請した. A. 相互評価学習の要素と効力感の因果関係:過年度の取得データをもとに次の分析を行う.(1)学習者へのインタビューテキストのプロトコル分析,(2)相互評価学習の評価コメントをテキストマイニング手法により分析する,(3) 受講生に対する自由記述形式のアンケートのテキスト分析.分析には時間を要するため,データ入力等については外部業者への委託を行う. B. 相互評価学習システムの検討と開発:国内外で開発・運用されている相互評価学習システムに関する情報を収集する.相互評価学習モジュールの改善案の検討をもとに,既存のMoodle システムカスタマイズについて外部業者と打合せを行い,業務委託を行う.また,相互評価学習で用いるコンテンツ撮影システムが老朽化しているため,最新の設備・ソフトウェアの購入についても併せて検討する. C. 相互評価学習の授業デザイン検討:Aのこれまでの分析をもとに,対面科目の授業デザインの見直しを行う.
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Causes of Carryover |
実施期間中に研究代表者が産休/育休を取得したため研究の遂行が計画よりもやや遅れており,次年度使用額が生じている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費:eラーニングコンテンツ撮影システム,研究用ソフトウェア,書籍等を購入する. 人件費・謝金:データ分析事前処理等を予定 その他:前年度までに遂行できなかった相互評価学習システムのプログラム開発を業務委託する.
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