2014 Fiscal Year Research-status Report
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26750095
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
平岡 隆二 熊本県立大学, 文学部, 准教授 (10637622)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 近世日本科学史 / 東西交流史 / イエズス会 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、1)海外図書館(ヴァチカン図書館)での写本調査とその事前調査、2)国際会議での英語報告2件、3)関連資料の収集とデータ整理、が主な活動であった。 1)については、研究協力者の渡邉顕彦氏(大妻女子大学)の協力の元、ヴァチカン図書館蔵写本『天球論』第2部の校訂・下訳をほぼ完了することができた。ヴァチカンでの原本調査では、本文の内容のみならず、紙質をはじめとする写本の物理的特徴についても精査し、新たに多くの知見を得ることができた。以上をまとめた論文を、予定通り2015年度中に完成させることを目指している。 2)については、学習院女子大学、国立清華大学(台湾)でそれぞれ開催された国際会議において、上の過程で得られた知見を中心に、英語での発表と討論を行った。本研究計画の成果を国際的に発信するとともに、欧米やアジアの研究者との学術交流を進めることができた。 3)については、近世科学史・海外交流史関係図書と、関連目録の収集、またそれらのデータ整理を中心に作業を進めた。その過程で、近世長崎における科学研究とその人的・物的ネットワークを把握する必要に迫られ、それらに関する資料収集・整理も行った。データ整理については、現時点で関連目録・資料あわせて計21タイトルから必要なデータを抽出・入力済みである。 以上の進捗状況を踏まえ、2015年度は、前掲1)の論文を完成させるとともに、とくに関連する近世日本天文学書の収集と分析を進めてゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した3つのテーマのうち、(1)ラテン語原典の本文の確定、については、当初予定していた作業はおおむね完了した。(2)その近世日本天文書への影響の有無の解明、については、関連目録等の情報整理を行い、2015年度以降に予定している実地調査に向けての準備はかなり整ったと言える。(3)漢籍を通して伝来した知識との比較検討にむけた基礎的調査・研究、については、現時点で関連目録18タイトルの情報入力を完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
前掲のテーマ(1)ラテン語原典の本文の確定、については、これまでの成果を踏まえて、2015年度中の論文完成・投稿を予定している。 (2)その近世日本天文書への影響の有無の解明、については、2015年度より、具体的な調査と分析を重点的に行ってゆく予定である。 (3)漢籍を通して伝来した知識との比較検討にむけた基礎的調査・研究、については、今後も必要に応じてさらなる情報収集とデータ入力を進めてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
2014年度は、国内出張が当初の予定より1回少なくなったため、その残金45,796円を次年度にまわすこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度の国内出張経費として支出する予定。
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Research Products
(4 results)