2016 Fiscal Year Annual Research Report
Plant Food Cultures in Northern Jomon Japan from Starch Residue Analyses
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26750101
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
渋谷 綾子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任助教 (80593657)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物食文化 / 縄文時代 / 北日本 / 残存デンプン粒 / 野生植物 / 加工・利用技術 / 資源状況 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,北日本の縄文時代遺跡から出土した石器や土器の付着物に含まれる残存デンプン粒を分析することによって,野生植物食料の加工技術を復元し,当時の植物食の実態を明らかにすることである。具体的には,植物の加工具とされる石皿や磨石類,および土器の付着物について残存デンプン粒の検出を試み,石器や土器の加工対象となった植物を検討する。
本研究の成果は主に三つある。第一の成果は,種実などの大型植物遺体と石器や土器の付着物から検出した残存デンプン粒の由来植物との比較により,実際に食資源として加工された植物の種類を推定できたこと,さらに,資料ごと,時期ごとの相違から加工対象植物のパターンを提示できたことである。縄文時代の全時期を通じて,堅果類の加工作業は継続されており,一部の遺跡では大型植物遺体としては見つかっていないユリ科鱗茎類,ワラビやクズ属などの根茎類も同じ石器や土器で加工されていることが判明した。したがって,この成果は縄文時代の植物食の実態を示唆するものであり,他の時代や地域の遺跡において同様の比較分析を実施すれば,対象の時代・地域の植物食文化を復元できる重要な成果である。
第二の成果は,加工対象植物のデンプン粒と土壌から混入したデンプン粒とを識別できたことである。ごく近年の出土資料を対象として,出土状況や保管時の対応などの情報を確認するとともに,同じ遺構から出土した自然礫や調査資料の上・下層から出土した他の資料との比較分析を行えば識別が可能であることを提示できた。また第三の成果は,既報告の残存デンプン粒の表面構造を観察し,現生植物のデンプン粒との比較を行った結果,土器の内容物など調理時の加熱に伴う壊れ方と石器を用いた加工作業に伴う壊れ方との間に相違が確認できたことである。これら二つの成果によって,植物食文化を研究する手法としての,残存デンプン粒分析の意義を提示できた。
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] 残存デンプン粒分析2016
Author(s)
渋谷綾子
Organizer
日本植生史学会創立30周年記念シンポジウム
Place of Presentation
専修大学生田キャンパス
Year and Date
2016-11-19 – 2016-11-19
Invited
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