2014 Fiscal Year Research-status Report
三陸海岸沿い沖積平野の掘削調査に基づく第四紀地殻変動の復元と隆起・沈降要因の推定
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26750106
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丹羽 雄一 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (20705371)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 三陸海岸 / 完新世 / 地殻変動 / 沖積平野 / 放射性炭素年代測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
三陸海岸における過去数千~万年程度の地殻変動の実態し、当該地域の隆起・沈降要因を明らかにするため、今年度は三陸海岸南部に位置する沖積平野である気仙沼大川平野の発達過程に着目して研究を実施した。 気仙沼大川平野では、1本のオールコアボーリングを採取した。また、東北地方太平洋沖地震後の震災復興工事で実施されたボーリング柱状図や土質試料を入手した。これらの地質試料に対し、岩相記載・粒度分析・貝化石の同定・放射性炭素年代測定などの各種分析を行った。 その結果、当該地域の完新統が下位から、網状河川堆積物、干潟堆積物、内湾堆積物、デルタフロント堆積物、干潟~分流路堆積物から構成されることが明らかとなった。また、合計50程度の年代測定値から描いた堆積曲線はデルタの発達に対応した形態であり、堆積物の特徴から推定されるデルタの発達と調和的であることが明らかとなった。また、平野の上流から下流を通じた地質試料と年代測定値に基づいた地形・地質断面図からは、当該地域は遅くとも5000年前以降にはデルタの前進が生じていることが明らかとなった。 当該地域で大規模な沖積平野と同様のデルタの発達が見られる理由として、気仙沼大川平野が閉鎖的な内湾の湾奥に位置し、埋没谷の幅が狭く、相対的に河川作用が卓越したことを提示することができた。 今年度の結果は数千~万年スケールでの地殻変動を明らかにする上での基礎的で有意義なものであり、次年度の研究計画を遂行する上での準備ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
掘削調査や柱状図データの取得などを予定通りに順調に行うことができた。また、堆積物試料の解析など、過去数千~万年スケールでの地殻変動を解読する上での基礎的なデータの取得も予定通りに遂行することができ、次年度の研究計画を遂行する準備が整った。 そのため、研究がおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた当該地域の平野の発達過程や地層の形成過程を踏まえ、過去数千~万年スケールでの地殻変動の実態を解読する。また、気仙沼大川平野以外の三陸海岸の沖積平野でも調査を行い、三陸海岸の数千~数万年スケールでの地殻変動の実態を明らかにし、測地観測による数十~百年間の短期変動や海成段丘による十万年スケールでの変動と比較検討し、隆起・沈降の要因を解読する。
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Research Products
(9 results)