2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26750107
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大坪 克俊 岐阜大学, 工学部, 助教 (70411650)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 植生 / 3次元マップ / 位置合わせ / パターンマッチング / 樹木 / 軸抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,森林の適切な維持・管理のため,本来3次元構造を持つ植生を精確に把握することを目的として,3次元計測システムに基づく植生図の自動作成システムの開発を行うものであり,平成26年度の当初計画1~3に対して以下の成果を得た. 【1. 植生用3次元計測システムの構築】3次元計測に必要なハードウェアの核となる距離センサを購入し,測定される距離データから3次元の点群情報へ変換するソフトウェアモジュールの開発に成功した.更に,大学構内の樹木を対象として計測性能の評価実験を行った結果,想定していた精度と規模の点群情報を得るには垂直方向の計測範囲が不十分であるとの知見が得られた.そこで,距離センサの垂直方向への旋回を可能にする電動雲台を採用するよう計画を修正し,要求仕様を満たす装置を購入し,制御用のソフトウェアモジュールの開発に着手した. 【2. 植生の3次元マッピングモジュールの開発】目的とする植生用の3次元マップに適した点群の位置合わせを実現するため,パターンマッチングの一種である既存のアルゴリズムを基本として,測位情報や姿勢情報による初期値推定アルゴリズムを組み合わせた独自の位置合わせアルゴリズムを考案した. 【3. 植生の3次元モデル化モジュールの開発】本モジュールでは,2.のモジュールで得られる複数の樹木を含む植生の3次元マップに基づいて3次元モデルを構築する.この前段階として,単一の樹木のみを含む点群情報から樹木3次元モデルを構築するため,点群情報から樹木の軸(幹,枝)の抽出と軸周りの直径を計測するアルゴリズムを考案し,試作システムを開発した.更に,簡易な人工樹木モデルを対象とした評価実験を行ったところ,幹の抽出と直径の計測には実用十分な性能を保有していることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究で目的とする精確な植生図を作成するためには,高精度な植生の3次元モデルが必要であり,これには精細かつ大規模な点群情報を要する.しかしながら,計測性能の評価実験の結果から,本研究で採用した距離センサの計測範囲が不十分であることが分かったため,これを補うべく電動雲台を導入するよう当初計画の変更を余儀なくされた.これにより,要求仕様を満たす電動雲台の選定や,距離センサと組み合わせた計測システムの構築作業が必要となったため,当初計画の各段階に遅延を生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
先ずは,平成26年度分の当初計画で未達成の計画を遂行し,その後,平成27年度当初計画に変更を加えた以下の計画に従って研究を遂行する. 【1. 植生図作成システムの開発】植生の3次元モデルに基づいて,①植生情報(樹種,胸高直径,被度など)の自動解析,および②解析情報に基づく植生図の自動作成を実現するアルゴリズムを考案し,これらを実装した試作システムを開発する. 【2. 実地での本計測と植生図の作成】多様な植生環境における試作システムの有効性を検証するため,当初計画の東濃ヒノキ産地のGIS区分(単一樹種の実地)に加え,複数の樹種を含む実地において試作システムよる本計測と実地調査を行う.また,其々の結果に基づいて植生図を作成する. 【3. 実行結果の解析と試作システムの改良】試作システムで作成した植生図と実地調査による植生図を定量的に比較評価する.この後,この結果に基づく試作システムの改良を本研究期間終了まで繰り返し行う.
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Causes of Carryover |
距離センサや電動雲台など,計画上の物品費の見積額と実際の購入額に差が生じたことが理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3次元マッピングモジュールの完成に必要な測位・姿勢センサ等の物品費,植生図作成システムを用いた実地調査に掛かる人件費に使用する.
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