2014 Fiscal Year Research-status Report
“弥生の小海退”の確証による沖積低地における河川地形の発達過程の解明
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26750109
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田邉 晋 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (50415709)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海水準変動 / 利根川低地 / 縄文海進 / 植物遺体 / 湖棚 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,利根川低地最奧部における完新世の湖岸線の移動を復元するために,茨城県利根町と千葉県野田市において,それぞれ12m長と13m長のボーリングコア堆積物を採取した.コア堆積物は,半裁ののち,岩相と生物化石相の記載をおこない,植物片の放射性炭素年代値を測定した.これまでに採取した5本のコア堆積物の解析結果とあわせて検討したところ,利根川低地最奧部では,完新世中期以降,内湾から湖沼,河川へと古環境が変遷したことが明らかになった.湖沼堆積物については,植物遺体の同定も行い,その結果,水深1~2mをしめす沈水植物と浮葉植物が多く産出することが明らかとなった.湖沼堆積物は,湖棚の波浪侵食面(ラビーンメント面)と解釈できる軽微な侵食面に累重するため,その古水深を2mと仮定すると,縄文海進の高海水準期は4千年前に終焉し,海水準は3千年前に-2mまで低下,2千年前には現在の水準まで上昇したことが明らかになった.このような海水準変動は,東京低地と中川低地における表層河川堆積物の発達過程と調和的である.すなわち,東京低地と中川低地では河川堆積物の基底侵食面の年代が,2.8~3.2千年前に集約しており,これは利根川低地において海水準が最も低下した時期とおおよそ一致する.従って,これまでの研究で明らかにされた表層河川堆積物の発達モデルが,今回得られた海水準変動によって,改めて支持されることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたデータが得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
現在論文を執筆中.
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Causes of Carryover |
ボーリングコアの掘削費用が予定より安くすんだため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として使用予定.
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Remarks |
国土地理協会第13回学術研究助成(平成25年度)報告書
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