2014 Fiscal Year Research-status Report
生体侵襲を伴う医療業務における要員の力量評価に基づいた業務プロセス設計方法の開発
Project/Area Number |
26750113
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下野 僚子 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60609361)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 品質管理 / 医療の質保証 / 医療安全 / 業務プロセス / プロセス解析 / 標準化 / 侵襲的手技 / 能力評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,対象業務に必要な力量を保有する要員を対応付けることで,要員の力量の観点から質保証を実現する実践可能な方法論の構築を行っている.方法論の構築にあたって,(1)医療業務の構造と保有力量の構造を考慮した力量評価項目の開発,(2)力量評価に基づく要員配置を基軸とした業務プロセス設計方法の開発を行う.(1)では,医療業務が必要とする力量を「ニーズ」とすると,保有力量を「シーズ」と捉えることができ,両者の構造を明らかにし共通する評価項目を導出し,(2)では,力量の観点からの「ニーズとシーズのマッチング」の最適化を行っているといえる. 平成26年度は,(1)医療業務と保有力量の構造を考慮した力量評価項目の開発として下記を実施した. ①既存手法に基づくデータ収集による現状把握:共同研究先の医療機関(A病院)において,従来方法による力量評価結果を参照しながら,力量評価に関して組織された作業部会において指導医クラスの医師との議論により課題の抽出を行った.また,文献調査により既往研究で実施されている侵襲的手技に関する力量評価方法および課題の把握を行った. ②力量評価モデルの構築:生体侵襲を伴う医療業務プロセスに共通する力量評価項目とした.力量評価項目では,質保証の観点から品質管理分野において目的達成に必要な基本的な活動を表すPDCAサイクルの概念を参考とした項目,業務のスムーズさを示す所要時間の目安,症例経験を導出した.既往研究「要員配置モデル」における4段階の力量評価レベルを基準として,4レベルに対する力量評価項目を導出した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初の平成26年度の計画であった,医療業務の構造と保有力量の構造を考慮した力量評価項目の開発について,9つの侵襲的手技について力量評価項目の導出が達成できている.さらに,数名の後期研修医に対して,力量評価項目を用いた評価が実施され,付随して行った評価者および被評価者に対するアンケート調査においても有用性が示唆されたことから,おおむね順調に進展しているとした.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降は,力量評価に基づく要員配置を機軸とした業務プロセス設計方法の開発を行う予定である.要員配置にあたっては,各要員が保有する力量を明らかにするだけではなく,業務の難易度を考慮し,業務と要員のマッチングの最適化を行う必要がある.共同研究先の医療機関においてヒアリング調査を実施しながら,難易度別の業務を明らかにする. さらに,力量評価を行うことで,各要員が保有する力量が明らかになることで各要員が習得すべき力量が明らかになる.実際に力量評価を行う共同研究先の医療機関においては教育を通した力量向上が可能となる点も説明し理解を得ながら計画を遂行したいと考えている.
|
Research Products
(10 results)