2016 Fiscal Year Annual Research Report
The development of policy modeling method capturing the nonlinear dynamics of ecosystem and economic system
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26750120
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
上原 拓郎 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (60384757)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生態経済モデル / システムダイナミクス / 産業連関表 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、経済システムと生態系の複雑な相互依存関係を捉える、新たな生態経済モデルの開発と適用を行った。モデルは経済システムについては産業間の複雑な関係を包括的に捉えることができる産業連関表を用い、生態系についてはその非線型性を捉えることができるシステムダイナミクスを用いた。技術的には、システムダイナミクスモデルのモデリング・シミュレーションツールであるPowersimをプラットフォームとして、Microsoft Excelで作成した産業連関表をPowersimに同期させてモデルを構築した。 生態経済モデルの開発にあたり、フランスセーヌ川河口域とその流域経済の生態経済システムを事例とした。セーヌ川河口域はヒラメが生息しているが、港、橋、堤防の開発等により、生息域が減少しており、その回復が求められている。しかしながら、回復には費用が掛かり、地域経済への影響が懸念されることから、生息域の回復と地域経済への影響を捉える生態経済モデルを構築した。生態系については、生息域回復によるヒラメの生態と水揚げを中心としたモデルを作成し、生息域については底質の種類によって、ヒラメの生息条件がことなることから21地区に分割し、ヒラメについてはコーホートモデルを用いた。生態系と経済システムは、いくつかのフィードバックで相互依存関係にある。例えば、ヒラメの水揚げの変化、地域経済への影響の変化、最終需要の変化、ヒラメの需要の変化、ヒラメの水揚げの変化、等の関係がある。 今後の課題として、産業連関表とシステムダイナミクスを用いた生態経済モデルでは十分に捉えることができなかった部分を捉えるモデルの開発が考えられる。特に、本モデルは中期動学モデルであるが、産業連関表の技術係数等を一定としており、中期的な検討においては、必ずしも現実的ではないため、例えば計量経済モデルを組み合わせるなど対応が考えられる。
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Research Products
(2 results)