2015 Fiscal Year Research-status Report
災害時における高齢者の避難能力評価と避難計画に関する研究
Project/Area Number |
26750123
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
生田 英輔 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 講師 (50419678)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 避難行動 / 高齢者 / 津波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は津波や水害時といった災害時における高齢者の避難計画を議論する上で不可欠な避難能力評価を目的としている。平成26年度は津波および河川氾濫による地域を研究対象地域と設定し、約430人の住民対する避難に関する意識や備えを明らかにするためのアンケートを実施した。アンケートの結果を踏まえ、平成27年度はおなじ地域で高齢者と若年者で避難実験を行った。 実験では避難場所や想定浸水域が記載された複数の避難地図を作成し、各種情報が避難行動に与える影響を明らかにした。また、実験後にアンケートを実施し、どのようなファクターが避難行動に影響を与えているかを分析した。同内容の実験を若年者でも実施し、高齢者特有の避難行動の特徴を明らかにすることも目的としている。被験者は自立歩行可能な高齢者13名および若年者17名である。 対象地域は高台の避難場所はなく、地域内の高層の建物等に避難する必要があり、既存の防災マップには記載されている。しかしながら前年度のアンケート結果では避難経路の浸水が考慮されていなかった為、想定浸水域や避難目標地点の記載がどのような影響を及ぼすかを今年度の実験では考慮した。その結果、避難時間や避難距離は増加し、避難先の変更も発生した。とくに津波避難ビルを選択する被験者より想定浸水域外の避難目標地点へ避難先を変更する被験者が多く見られた。一方で、心拍センサーによる計測では身体に大きな負担が発生する避難行動を取らなくても概ね安全な場所に到達することがわかった。これらの結果と前年度の個人の避難タイムラインを統合し、津波や河川氾濫時の猶予時間における避難計画を検討する予定である。 別途、要介護状態の被験者による避難実験の予備実験も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は実験実施には至ったものの被験者数が当初計画よりやや少ない結果となった。しかしながら、一定のデータは得ることができ、高齢者および若年者の避難行動の特徴を比較検討することはできた。また、要介護状態の高齢者の予備実験も実施し、次年度の実験に資する知見を得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度はアンケートおよび実験で得られた結果から典型的な高齢者の避難行動パターンを地域防災のステークホルダーに呈示し、地域において避難計画を策定する際の基礎資料として必要な要素を把握する。併せて要介護状態の高齢者の避難実験を実施し、データの蓄積を図る。
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Causes of Carryover |
被験者数が減少したため、被験者数謝金および補助者謝金に変更があり、また計測機器も安価な製品を確保することができ、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに実験の目処がついた要介護状態の高齢者の実験を順次実施し、被験者謝金および補助者謝金として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)