2015 Fiscal Year Research-status Report
都市構造を考慮した火の粉に対する建物の脆弱性に関する研究
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26750128
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Research Institution | National Research Institute of Fire and Disaster |
Principal Investigator |
鈴木 佐夜香 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター), その他部局等, その他 (50714135)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 火の粉 / 大規模火災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本の都市構造に焦点を当て、日本の建物の火の粉に対する脆弱性を実験的に検討するものである。文献調査の結果を元に火の粉発生装置を用いて実大実験とベンチスケール実験を行い、脆弱性を確認する。本研究は以下の段階に分かれる。 1)文献調査により大規模火災における飛び火の被害、火の粉の発生の様子を確認する。2)文献調査の結果に合わせて火の粉発生装置から発生させる火の粉の大きさを変更(軽く、大きい火の粉)する。3)ベンチスケール実験を可能とする実験装置のセットアップを行う。4)予備実験として文献調査によりこれまでの被害の多い屋根、近年人気のあるウッドデッキ、建物で一番多くの面を占める壁に対して実験を行い、本実験の対象を決定する。5)予備実験の結果を元に実験対象をウッドデッキと決定し、実大実験を実施し、ベンチスケール実験に必要なデータを確認する。6)実大実験結果を模擬できるようなベンチスケール実験をウッドデッキを対象として確立する。 平成26年~27年度の2年間では5)まで終了しており、ウッドデッキを対象とした火の粉による着火の様子に関して以下のような知見を得た。 1)実大実験では風速8m/sにおけるウッドデッキの着火メカニズムを検討した。3種類の木材に対して再現性を確認するため2回ずつ実験を行った。2)火の粉は角に堆積しやすく、6実験中5実験において角で、1実験ではウッドデッキのフロント部分で着火した。3)火の粉によるウッドデッキの有炎燃焼にかかった時間はビデオより測定された。1実験に関して他の5実験と異なる箇所で着火したことから有炎燃焼にかかった時間で比較するのではなく、有炎燃焼に必要な火の粉の量で比較した。その結果実験を行ったウッドデッキの有炎燃焼に必要な火の粉の量は10グラム程度であり、木材の密度と有炎燃焼に必要な火の粉の量は正の相関関係があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実大実験の実験回数を当初の予定よりも増やし、系統的に実験を行うこととした。そのため、より多くの検討を行うことが可能となり、ベンチスケール実験へつなげることが出来た。そのためにベンチスケール実験は平成28年度に持ち越すことになったが、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度はこれまでの結果を元にウッドデッキを対象としたベンチスケール実験を行う。実大実験結果との比較に加え、火の粉による対象への脆弱性を確認できるベンチスケール実験を確立することを目標とする。
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Causes of Carryover |
実大実験にかかる実験場使用料を節約できたためである。また、実験・解析のために年間を通じて雇用予定であった人件費を削減し、実験の際には期間中のみ実験補助を雇用し、経費を節約した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
節約できた分に関しては、平成27年度に行った実大実験の回数を増やしたり、平成28年度に行うベンチスケール実験でより多くの実験を行うための実験補助にかかる費用や実験に必要な消耗品として使用予定である。
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Research Products
(5 results)