2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26750143
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Research Institution | Kisarazu National College of Technology |
Principal Investigator |
SAPKOTA ACHYUT 木更津工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (70724706)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血液凝固 / 体外循環 / 人工臓器 |
Outline of Annual Research Achievements |
体外循環装置(補助人工心臓、人工透析装置および人工心肺装置など)では、血栓形成が問題となっている。それを未然に防ぐため、定期的に抗凝固処置を行う必要がある。しかしながら、この処置を行うことにより出血や血小板減少症などの副作用が発症する。そこで、血栓性をリアルタイムで調べ、必要なときだけ抗凝固処置を行う方法が望まれる。本研究では、血液の電気的特性を用いることにより、リアルタイムの計測で、血栓を早期段階で検出する方法を確立することを目的とした。具体的な方法としては電気インピーダンス・スペクトルスコーピ法(複数の周波数の電流による計測方法)を用いて血栓形成実験を行った。100 kHzから5MHzまでの周波数帯での計測結果は、高周波数特性外挿法(Cole-Cole法)を用いて解析し、血液の電気的特性周波数を求めた。また、体外模擬流路を用いて実験を行った結果、凝固リスクの指標となる活性化凝固時間(ACT)と血液の電気的特性周波数の間に高い相関性を得られた。さらに、凝固因子の濃度計測により血栓形成の有無の血液電気的特性周波数との相関性も確認できた。しがたって、血液の電気的特性周波数を計測することによって早期に血栓を検出できることが明らかになった。本成果は、医療現場における血液凝固の管理を可能とするシステム開発につながり、血液の状況をリアルタイムで観測し、自宅から病室および手術室まで様々な医療現場で抗凝固処置を最適に行うことが期待できる。 今後の展開としては、本研究では使用した血液はウシとブタ血液で、ヒト血液へ適用性も調べる必要がある。さらに、本研究の成果を用いることにより血液凝固過程発生後の血栓検出はできるが、事前に凝固のリスクを解析し、最適な抗凝固処置に利用することはできない。そこで、リアルタイムで計測できる血液凝固リスクバイオマーカを発見し、リアルタイムで凝固リスクを調べる方法を確立することが望まれる。
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