2014 Fiscal Year Research-status Report
術後の骨量減少が生じない傾斜低弾性人工股関節ステムの最適化研究
Project/Area Number |
26750148
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山子 剛 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 助教 (50452074)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体力学 / 人工股関節 / ステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,術後の骨量減少が生じない人工股関節ステムの創出を目的として,新たに開発されたヤング率傾斜性チタン合金(Ti-Nb-Sn)を用いて大腿骨の荷重伝達様式を正常大腿骨に近づけることを試みた.平成26年度は以下に示す研究項目を実施した. 1.試作したステムのヤング率の傾斜性評価 2.試作したステムのストレスシールディング・初期固定性の評価 1では,ステムのネック部を把持した片持ち曲げ試験を実施し,試作したステムと同形状のTi-6Al-4V製ステムの剛性を比較し傾斜性を評価した.その結果,試作ステムはTi-6Al-4V製ステムに対して遠位方向へ曲げ剛性が低下し,遠位部先端では約50%を示した.即ち,試作ステムのヤング率は近位から遠位へかけて徐々に低下し,遠位端では約55GPa程度になることを明らかにした.2では試作したステムと同形状のTi-6Al-4V製ステムを生体力学試験用模擬大腿骨にそれぞれ設置して,術後の荷重伝達様式と固定性について比較評価した.術後の大腿骨に対して片足立ちを想定した力学的な負荷を与え,ステム周囲の大腿骨表面(13箇所)のひずみを計測してストレスシールディングを評価した.さらに接触式変位センサを用いてステムと大腿骨の相対変位を計測することによって固定性を評価した.その結果,Ti-6Al-4V製ステムでは顕著であった大腿骨近位内側部の相対ひずみの低下(57%)が,試作ステムでは有意に増加(84%)した.また,試作したステムとTi-6Al-4V製ステムの間に,軸方向変位と回転角度に有意差は見られなかったものの,繰り返し負荷に対する挙動を明らかにする必要がある.試作ステムの荷重伝達様式は正常大腿骨へ近づき,ストレスシールディングを抑制可能であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究実施計画」に従い,平成26年度に遂行すべき研究項目は達成された.すなわち,試作されたステムに対して,そのヤング率の傾斜機能を評価すると共に,ストレスシールディングの抑制効果及び初期固定性の獲得について明らかにした.プレスアクチュエータを用いてステムの繰り返し負荷に対する挙動を明らかにする実験について新たな研究の課題とした.さらに術後の骨量減少を生じさせないためには,さらなる形状およびヤング率分布の最適化が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した「研究実施計画」に従い,以下の研究を推進していく. 今年度は,骨再構築理論に基づいたシミュレーションによって,Ti-Nb-Sn合金製ステムのヤング率分布・形状の最適化を行う.骨の再構築メカニズムを考慮した有限要素法解析を行い,術後の骨量減少を予測する手法を確率すると共に,ヤング率傾斜・形状を設計変数とし,骨量減少を目的関数としてステムの最適化問題に取り組み,新たなステム形状を試作しその性能をin-vitro実験によって評価する予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,当該年度に使用予定であった旅費及び論文費が発生しなかったためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究推進上の問題が生じたのではないため,研究を実施する上で使用計画に変更はない. 生じた次年度使用額については学会参加費及び論文投稿料に使用予定である.
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Research Products
(3 results)