2014 Fiscal Year Research-status Report
“スマート”ナノファイバーを用いたアミノ酸再吸収能を示す透析膜の開発
Project/Area Number |
26750152
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
滑川 亘希 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (60638568)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ナノファイバー / 血液浄化 / アミノ酸 / 温度応答性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、慢性腎不全患者の低栄養状態を改善するための新規医用材料の開発に取り組む。特に、血中からのアミノ酸の喪失を抑制し、さらに再吸収させることを優先課題として、血液透析施行時にアミノ酸を特異的に吸着し、返血時にアミノ酸を放出する“スマート”ナノファイバーを組み込んだアミノ酸再吸収型透析膜を開発する。平成26年度は、母体となるナノファイバーの最適な作製法を検討した。ナノファイバーのベースとなる材料として、血液適合性を有し人工材料であるエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)と生体由来材料であるヒト血清アルブミン(HSA)を用い、電界紡糸法によって製膜した。電界紡糸時に高電圧(28 kV以上)をかけることで、細くて機械的強度に優れたEVOHナノファイバーおよびEVOHとHSAを混合したコンポジットファイバーを作製できた。このコンポジット中のHSAの配合比率は最大で20%までは安定に存在できることを確認した。さらに、HSAと11-mercapto-1-undecanolをヘキサフルオロイソプロパノール:水混合溶液に溶解させた紡糸原液を用いることで、HSA単体からなるナノファイバーを製膜できることが明らかになった。HSAナノファイバーをウシ血清中への浸漬実験の結果、血清中でも分解せず安定に存在し、副次効果として、血清中のタンパク結合性尿毒素であるインドキシル硫酸を吸着することが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の基礎検討においてナノファイバーの製膜に関する知見を得ることができ、当初の計画通り推移している。今後は、アミノ酸を特異的に吸着・脱着するスマートナノ粒子の合成法について検討していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
アミノ酸吸着ナノ粒子を温度応答性高分子から合成する。まず様々な官能基を側鎖に有する、①N-イソプロピルアクリルアミド型と②オリゴエチレングリコールメタクリレート型の二種類のモノマーを合成する。得られたモノマーと架橋剤、アミノ酸を混合し、沈殿重合によりナノゲル粒子を作製する。対象とするアミノ酸としてグルタミン酸、トリプトファン、ロイシンを用いる。得られたナノ粒子は、TEMやAFM、DLS等で構造や粒径、温度応答性、アミノ酸吸着特性を網羅的に評価する。
|