2014 Fiscal Year Research-status Report
脳組織標的指向化超分子プロドラッグによる革新的ライソゾーム病治療アプローチ
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26750155
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田村 篤志 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (80631150)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ライソゾーム病 / ポリロタキサン / シクロデキストリン / ニーマンピック病C型 / コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題ではライソゾーム病の一種であり、リソソームにコレステロールの蓄積が認められるニーマンピック病C型(NPC病)に対する治療薬を開発することを目的としている。具体的には、β-シクロデキストリンを包接したポリロタキサンを用いて、NPC病モデルマウスの各臓器におけるコレステロール代謝の改善と生存期間の延長について検討を行う。これまでの研究で、細胞内で分解し、β-シクロデキストリンを放出することが可能なポリロタキサンを開発し、NPC病モデル細胞におけるコレステロール蓄積の改善に関して評価を進めてきた。ポリロタキサンは既存のシクロデキストリン誘導体と比較して約100分の1の濃度でNPC病モデル細胞におけるコレステロール蓄積を改善することを明らかとしてきた。本年度は、in vivoでの治療効果を明らかとすることを目的にNpc1ノックアウトマウス実験系の立ち上げを行った。Npc1ノックアウトマウスは生後8週齢程度までは野生型マウスと同様の体重増加を示したが、それ以降は顕著な体重減少を示した。本マウスの生存期間は平均76日であり、既往研究とほぼ一致した。現在は、ポリロタキサン、シクロデキストリンをNPC病モデルマウスに皮下投与を行い、体重変化、生存期間を観察中である。また、体内動態をin vivo蛍光イメージング装置により評価するため、近赤外蛍光試薬で標識したポリロタキサン、ならびにシクロデキストリンの合成法を確立した。予備的な実験として、ICRマウス皮下に蛍光標識したシクロデキストリン、ポリロタキサンをそれぞれ投与し、1時間経過後IVISで蛍光強度を比較した結果、ポリロタキサンを投与したマウスはシクロデキストリンを投与したマウスよりも高い蛍光強度を示し、ポリロタキサンは低分子のシクロデキストリンと比較して長時間体内に留まる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の中心となるin vivo評価について、ノックアウトマウスを用いた治療効果、ならびにin vivo蛍光イメージングによる体内動態の実験系を確立した。動物実験施設の改修工事の遅れにより研究のスタートが予定より遅れたものの、ほぼ当初の計画通りに実験は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実験系を確立したNpc1ノックアウトマウスに対する治療効果の評価を今後も継続するとともに、in vivo蛍光イメージング装置を用いて詳細な体内動態の解析を進める。また、脳組織へのポリロタキサンの集積量を向上させることを目的に様々な脳組織移行性ペプチドを修飾したポリロタキサンを合成し、脳へのターゲティング、ならびに治療効果への影響を明らかとする。
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Research Products
(8 results)