2014 Fiscal Year Research-status Report
超分子重合制御に基づく膜透過性ペプチドナノニードルの精密作製と免疫制御への応用
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26750157
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
和久 友則 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (30548699)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ペプチド / 自己組織化 / 超分子 / 免疫 / ドラッグデリバリーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
一次元ナノ材料の形態に由来するDDSキャリア機能の創出は重要課題であるが、未だ十分な知見は集積していないのが現状である。従来の研究において、長さの不均一な『多分散試料』が用いられていることが最大のネックとなっている。本研究では、我々が最近開発したニードル形態をもつ抗原集積化デバイス『膜透過性ペプチドナノニードル』の長さ制御を目的として、『超分子ポリマーの重合制御に基づく単分散ペプチドナノニードルの精密作製技術』を確立する。 ベータシートペプチドナノニードルは、ベータシートペプチドが水素結合により一軸方向に連なった構造を持つ超分子ポリマーである。結晶成長などと同様に、①核形成プロセスと②核にモノマーペプチドが次々に結合する線維伸長(重合)プロセスの2つの過程で形成する。本年度は、核からの伸長反応条件の最適化について検討した。具体的には、あらかじめ形成したペプチドナノニードルをフィルター濾過することで、断片化した。この分散液を、ペプチド溶液に添加することで線維伸長させた。核を添加しない場合には自発的に線維伸長しないペプチド濃度領域で、条件探索を行った。伸長反応前後の線維長分布を比較すると、線維分布を維持しつつ平均線維長の増加が認められた。このことより、伸長プロセスを制御することで均一な長さをもつナノニードルが得られる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案したストラテジーにより研究目的が達成される一定の見込みが示されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、伸長反応後に除去することが可能な『リムーバブル核』の設計および、これを用いた線維伸長の制御技術を確立する。また、長さの揃った単分散性ナノニードルと細胞との相互作用 (取り込み機構、細胞内動態、毒性、活性酸素種生成、樹状細胞成熟化など) を詳細に解析することで、『長さ』とキャリア機能との相関を明らかとする。さらに、樹状細胞が高濃度に存在するリンパ節への集積性に与える『長さ』の効果を調査する。以上の知見をもとに、リンパ節常在性樹状細胞の細胞質をターゲットとした抗原デリバリーに最適なナノファイバーを設計し、それによる免疫誘導効果を評価する。
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Causes of Carryover |
当初想定していなかった学内予算の配分があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬などの消耗品類の購入に充てる予定である。
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