2016 Fiscal Year Annual Research Report
Fabrication of paste-like artificial bones with enhanced biological properties
Project/Area Number |
26750159
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小西 敏功 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (10587843)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リン酸カルシウム / 銅 / 骨補填材 / 骨伝導 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究は自家骨の骨誘導能に匹敵する骨形成能および血管形成能を備えた人工骨材料を創製することを目的とする。また、この人工骨材料を用い、骨修復セメント技術に基づいて注射器で患部に注入可能な低侵襲治療型ペースト状人工骨へと応用展開する。 平成28年度は銅イオン(Cu)を含むβ-リン酸三カルシウム(CuTCP)を液相合成法により合成することを試みた。硝酸カルシウム四水和物、硝酸銅三水和物および、リン酸水素二アンモニウムを出発原料として用いて、仕込み組成がCuTCP中のCaに対するCuのmol%が0-10 mol%、(Ca+Cu)/Pモル比=1.5となるように合成した (CuxTCP_W, x = 0-10)。 液相合成法は合成時のpHや温度、また撹拌熟成時のアパタイト形成にともなうpH降下の抑制がβ-TCPや副相の生成に直接影響を及ぼす。様々なpH、合成温度、熟成時間で合成を行った結果、pH7.3,30℃で15時間熟成させる合成条件がβ-TCPの作製に最適であることが分かった。しかし、この条件では、わずかに副相としてβ-CPPが含まれることが分かった。この原因について検討したところ、熟成中、反応溶液のpHは三段階で降下することが分かった。この際,熟成初期に起こるpH降下を制御することが副相生成の抑制に最も効果的であった。具体的には、Cu0, 0.1TCP_Wではリン酸滴下終了後から1時間、Cu1TCP_Wでは1.5時間、pH7.3を維持することがCuTCP単相の合成に最適条件であった。 さらに、得られたCuTCP粉体の溶解性を調べたところ、銅を添加することで、CuTCP粒子に表面水和層 (腐食抵抗性層)が形成され、その溶解が律速過程となりCuTCPの溶解速度が低下することが明らかとなった。
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