2015 Fiscal Year Research-status Report
エコードップラー法による胎生期聴覚検査機器の開発と臨床応用
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26750167
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
笠井 美里 順天堂大学, 医学部, 助教 (70549279)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 先天性難聴 / 胎児聴力検査 / 聴覚スクリーニング / 胎児中大脳動脈 / 超音波検査機器 / 聴覚閾値 |
Outline of Annual Research Achievements |
出生後の先天性難聴は既に高度な難聴に陥っていることが多く、変性した内耳を再生することは極めて困難であり、現行の内耳再生技術の戦略には限界がある。胎生期の難聴を診断するための基盤研究として、胎生期の聴力検査を施行する。なお、以前より振動による音刺激に対しての胎児の反応の報告はあるが、閾値精査まではされていない。今回当研究により胎児の聴覚検査を行い、より精密な聴覚スクリーニングを目指すこととした。 本スクリーニングシステムは、発信器・ピエゾドライバ・積層型圧電素子・超音波血流測定器から成る。発信器により可聴周波数信号を発生し、ピエゾドライバにて電圧変換し、積層型圧電素子に入力する。積層型圧電素子により、妊婦腹部表面を加振し、羊水を通し、胎児に可聴音振動を与えた。胎児が羊水で満たされた気導、もしくは骨導により音刺激を受容した場合、中大脳動脈の血流に微小変化が生じるため、これをエコー血流計測装置で検出することにより、胎児の聴力計測を試みた音刺激を加えた。前後のPulsatility index (PI) 値の上昇によって反応ありと判定した。PI値とは末梢血管抵抗を意味しており胎児の状態の一指標である。多数の指標を比較した際に音刺激による変化を一律に認めており、これを当検査の指標とした。また、出産後に現行されている新生児聴覚スクリーニングを実施し今回の検査結果と対比させ、聴覚刺激による変化の裏付けの一つとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の音響刺激装置は30~80Hzであり母体並びに胎児の皮膚知覚の影響が強いと考える一方、今回の振動の発生源はいわゆる超音波探触子に近いものであり胎児に与える刺激は聴覚以外ではごくわずかと考える。開発された音響刺激装置を使用して、胎児環境下での可能である刺激音圧レベルを明らかにした。その際に考えうる環境の変化にも応用、対応できるようなバリエーションに富んだ胎児モデルをシリコンフォーム並びに生理食塩水等で作成し、生理食塩水内のマイクロフォンを胎児聴覚器の代替として計測した。胎児に与える音圧レベルを把握することにより可聴閾値の測定を可能とする他、胎児への音響刺激も最小限に抑えられより安全に行える。 28週以降の500胎児を目標に、通常検診の際にエコーで中大脳動脈を抽出し、音刺激前後での変化を計測した。簡便な検査であり、特に問題なく100胎児を計測した。2000Hzの音刺激に関しては有意性を認めたが1000Hz、4000Hzの音刺激に対しては有意性を認めなかった。理由としては、周波数による蝸牛単体との感度の違いがあげられる。また、週数が経ると有意性は上昇する傾向にあり、胎児の聴力伝導路の確立に伴うとされ、胎児聴力検査として見なせる。
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Strategy for Future Research Activity |
本スクリーニングシステムを用いることにより、刺激音の音圧レベルと振動数は可変となる。よって、確立された測定方法により胎児の可聴閾値が明らかとなる。 また、胎児の可聴閾値をもとに、妊婦の定期検診時で汎用しているエコー検査時に上述した胎児聴力検査装置を用いて、28週以降の胎児の聴覚能を判定する。合計500胎児を目標に検査を実施し、順天堂医院にて検査データーの収集と解析を行う。
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Causes of Carryover |
既存の機器を使用したことで使用額が最小限となり次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な消耗品が必要である。研究成果公表のための学会発表ならびに研究協力者への謝金、資料収集の費用などに充当する。
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