2015 Fiscal Year Research-status Report
高線量局所被ばくによる皮膚障害に対する超音波治療の有効性
Project/Area Number |
26750177
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小枝 周平 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (00455734)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 被ばく医療 / 放射線皮膚障害 / リハビリテーション / 超音波治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はデータ収集を進め、サンプル数を増やし、統計解析を行うことで高線量局所被ばく病態モデルに対するリハビリテーション訓練の介入効果を示す予定であった。平成26年度までの課題であった高線量局所被ばく病態モデルに対して照射する放射線照射量は、体重変化や自発運動量、皮膚状態、足関節関節可動域などのデータ収集結果から30Gy程度が適切であると考えられた。この放射線量で基礎データを収集したところ、高線量局所被ばく病態モデルは、皮膚状態や自発運動量が低下し、関節可動域は時間経過とともに徐々に悪化する傾向が認められた。 また、平成27年度は、確立した高線量局所被ばく病態モデルに対してリハビリテーション訓練として超音波治療を実施した。超音波治療は水中法で、超音波治療器の設定を周波数3MHz、出力0.5W/cm2、照射時間率20%、照射時間10分間の設定とした。その結果、超音波を照射した群は、コントロール群と比較し関節可動域に有意な差がなく良好な経過が観察された。超音波のパルス波の照射は、創治癒促進、瘢痕形成抑制、細胞間のマッサージ効果、炎症進行抑制と放射線皮膚障害に有効と考えられる効果が示されていることから、これらの効果が関節可動域の維持に有効に働いたといえる。しかしながら、関節可動域が維持されたメカニズムを解明するための組織学的検査は不十分であることから、来年度以降は、サンプル数を増やす中でこの点を重点的に行っていく必要があると考えられる。 なお、上記の実験はすべて弘前大学動物実験委員会の承認を得て実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度はデータ収集を進め、サンプル数を増やし、統計解析を行うことでリハビリテーション訓練の介入効果を示す予定であった。 放射線照射量の決定に時間を要したこと、それに伴い組織学的検査の実施方法の習得および実施場所・設備の確保、データ解析に時間を要したことでデータ収集が遅れることとなった。 上記より、課題はやや遅れていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、早期に組織学的検査の実施方法の習得をし、データ収集を進めていくことが必要となる。それに加えて、これまでに得られたデータを整理し、評価指標などを再考すること、新たな評価技法があれば順次獲得するよう努力する。
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Causes of Carryover |
各種機器の設定の見直しや実験系構築、局所放射線被ばくモデルの作製、基礎データ収集に時間を要した結果、消耗品の購入や成果公表のための国内旅費や学会参加費の支出には至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は早期に実験を実施し、必要物品を確定するほか、成果公表の場に積極的に参加する予定である。
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