2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26750182
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐々木 努 信州大学, 医学部, 委嘱講師 (00404781)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自動車運転 / 医療・福祉 / 脳神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
自動車運転関連能力を評価することを目的に運転能力評価課題の開発を行った.先行研究で開発した課題に加え,平成26・27年度においては,1)視覚探索課題,方向定位課題,道路標識課題を追加構築する,2)健常高齢者を対象に標準データを構築する,3)脳損傷患者の特性を評価する,の3課題に取り組んだ.研究結果は以下の通りである.1)数字を順に探していくPartA(Trail Making Test A:TMT-A)と数字とひらがなを探していくPartB(TMT-B)からなる視覚探索課題を作成した.また,中央に表示されている8方向の白矢印の中から,周囲4ヵ所に示したターゲット方向に一致した矢印を選択する方向定位課題を作成した.更に,道路状況に合った道路標識を選択する道路標識課題を作成した.2)有効な自動車運転免許を保持する67名の地域在住の健常高齢者を対象とした.視覚探索課題では,TMT-Aの所要時間は平均84.3±26.9秒,TMT-Bは平均153.0±71.9秒であった.方向定位課題の正答数は平均29.7±1.0個,所要時間は平均86.9±32.5秒であった.道路標識課題の正答数は平均8.0±1.7個,所要時間は平均238.4±111.4秒であった.3)有効な自動車運転免許を有する脳卒中患者58名を対象とした.視覚探索課題では,TMT-Aの所要時間は平均119.3±58.8秒,TMT-Bは平均229.7±78.6秒であった.方向定位課題の正答数は平均26.8±3.6個,所要時間は平均132.2±57.4秒であった.道路標識課題の正答数は平均6.1±2.0個,所要時間は平均219.4±110.4秒であった.脳卒中群はいずれの課題においても,統計学的に健常高齢群より低成績であった.本研究の結果は,脳卒中群は視覚探索能力,視空間構成能力,非言語的推論及び道路標識に関する知識が乏しいことを示しており,開発した課題を用いて自動車運転能力の一部を評価できる可能性が示唆された.
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