2015 Fiscal Year Annual Research Report
体性感覚イメージ遂行中の作業記憶(WM)関与の解明
Project/Area Number |
26750183
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上村 純一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70467322)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 体性感覚 / イメージ / 神経活動同期 / 脳磁計 |
Outline of Annual Research Achievements |
体性感覚イメージ遂行に関わる認知機能について、脳磁計を用いて脳活動の記録を行い検討した。本研究では、まず初めに実際の体性感覚刺激に対する、脳内ネットワークの特定を行った。健常成人を対象に、電気刺激を右手首正中神経に行い、体性感覚の情報処理に関連すると言われる脳領域(1次、2次体性感覚野(S1)(S2))の神経活動の記録を行った。併せて、刺激のない安静時の脳活動の記録も行った。解析は機能的なつながり具合の指標となるPLV値をS1,S2間で算出し、安静時のPLVと比較検討を行った。Theta、alpha、gamma帯域において、体性感覚刺激に起因する神経活動同期の変化を見出した(p<0.05)。これにより、各脳領域にて記録される神経活動について、相互間の機能的なつながりの有無を明らかにできるようになった。 次に、神経活動同期の解析手法を応用し、体性感覚イメージ遂行時の関連脳領域間の神経活動同期の検討を行った。体性感覚イメージは、実際の刺激がない条件下で感覚をイメージする課題とした。イメージのガイドのため、右手をブラシでこすっている無音の動画を作成し、動画に合わせて被験者自身の手首を、ブラシで擦られた感覚をイメージする課題を作成した。対照条件はイメージは行わず、動画だけを見ている条件とした。PLVの算出を行った。対象とする脳領域は体性感覚情報のワーキングメモリーに関与するとされる左右S2とした。感覚イメージ遂行における、S2と他脳領域間における神経活動同期は左右半球で異なる結果となった。刺激をイメージした対側半球(左半球)では、S1および前頭前野領域間において神経活動同期は強くなり、反対に同側半球(右半球)では減弱した。感覚イメージ遂行により、複数の離れた脳領域間の神経活動同期に変化が生じており、これは複数のネットワークがイメージ遂行に関与していると考察した。
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