2014 Fiscal Year Research-status Report
分子生物学的解析に基づく変形性膝関節症へのリハビリテーション治療の検討
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26750185
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
熊岸 加苗 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (10597892)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 / ヒアルロン酸 / 運動療法 / 炎症性サイトカイン / 関節破壊マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性関節症(OA)の保存的治療では、高分子ヒアルロン酸(HA)の関節内投与とともに運動療法が行われている。近年、高分子HAの抗炎症効果は報告されており、運動療法の重要性も広く知られているが、両者を併用した場合の治療効果は明確ではない。そこで、我々は、高分子HAの関節内投与時における運動療法の有用性を運動学的解析と生化学的解析を合わせて判定することを着想した。 OA患者を対象に、関節内HA投与の有無・運動療法の有無で治療効果を比較した。その結果、高分子HA投与後に一定の運動負荷を行った患者群においては、治療後の関節破壊マーカー(CTX-Ⅱ)に有意な改善が見られた。 次に、運動とヒアルロン酸投与併用療法の開始時と開始後1か月の時点でそれぞれ、膝関節滑液中の炎症性サイトカイン(IL-6、IL-8)、細胞外基質分解酵素(MMP13)活性の測定を行った。また、ヒト軟骨様細胞培養上清にIL-6および可溶性IL-6受容体、IL-8をそれぞれ添加し経時的にMMP13mRNA発現をreal time定量 PCR法にて測定した。 併用療法実施患者の治療開始1か月後、膝関節滑液中のIL-6、IL-8が減少した患者においては、MMP13活性の減少も確認された。しかし、IL-6、IL-8の減少が見られない患者では、MMP13活性に変化はなかった。更にin vitro試験系でヒト軟骨様細胞をIL-6、IL-8で刺激したところMMP13の発現が有意に上昇することを確認した。以上の結果、ヒアルロン酸投与と運動の併用療法により、IL-6, IL-8が減少し、細胞外基質分解酵素活性の低下が確認された。これらのことから、同治療法により関節内の炎症の軽減、細胞外基質分解酵素の抑制が期待できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究が順調に遂行できているため、当初の計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後当初の計画通りに進めたい。 動物OAモデルを作製し、運動刺激やヒアルロン酸投与による関節軟骨の反応性の比較を行いたい。
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Causes of Carryover |
動物用トレッドミルを購入予定であったが、姫路獨協大学より拝借することができたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、トレッドミルを用いた動物運動モデルを作成予定であり、そちらの作製費用に充てたい。また、拝しているトレッドミルのメンテナンス費用にも充てたい。
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Research Products
(4 results)