2015 Fiscal Year Annual Research Report
筋紡錘からの求心性入力によって誘起される運動知覚中の脳波解析
Project/Area Number |
26750191
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
柴田 恵理子 札幌医科大学, 保健医療学部, 研究員 (80516568)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 振動刺激 / 運動知覚 / 運動イメージ / 事象関連脱同期 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,時間分解能に優れた多チャンネルの頭皮上脳波を用い,動筋・拮抗筋関係にある筋紡錘からの求心性入力が大脳皮質に伝達され,運動感覚を知覚するまでに生じる神経活動の経時的変化から,運動知覚に関わる脳神経回路網の活動を探索することを目的として実験を行なった。 64チャンネルの多チャンネル脳波計を使用し,手関節掌屈筋・背屈筋に付与した振動刺激をトリガとして頭皮上脳波の測定を実施した。振動刺激は,掌屈筋と背屈筋にそれぞれ異なる周波数で刺激して運動知覚を誘導する条件と,両筋に同周波数で刺激して運動知覚が生じない条件を設定した。両筋を異なる周波数で刺激した場合には,振動刺激中に感覚運動皮質上で10Hz付近の周波数帯域の信号強度が低下し,事象関連脱同期が生じた。これに対して同周波数で刺激した場合,同様の変化はみられなかった。このことから,運動知覚が生じることによって特徴的な神経活動が生じることが示唆され,その神経活動は頭皮上脳波を用いると感覚運動皮質上で捉えられることが明らかとなった。 これまでの心理物理学的手法を用いた研究では,実際に運動知覚が生じているかを被験者の主観に基づいて推測しなければならないという点が研究限界であった。しかし本研究の結果から,感覚運動皮質上で記録した脳波の変化から,運動知覚が生じているかを客観的に判断できるようになった。この点が本研究の意義深い点であると考える。
|
Research Products
(7 results)