2014 Fiscal Year Research-status Report
半側空間無視と気づき:高密度脳波計を用いた事象関連電位研究
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26750194
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
高宮 尚美 県立広島大学, 保健福祉学部, 助教 (70723469)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 事象関連電位 / サブリミナル / 顔認知 / 文字認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、健常成人を対象に視覚的気づきの神経基盤を事象関連電位(ERP)で解明することである。具体的な研究項目は①意識上刺激・意識下(サブリミナル)刺激を用い、気づきによってヒトの視覚認知処理にどのような変化がおこるのか、②ヒトの視覚認知処理過程に左右の半球差が生じるのか、を検証することの2つである。 本年度は左右半視野に顔・物体あるいは漢字・スクランブル文字を意識上条件(300ms)で提示した際の右利きの健常成人18名の事象関連電位を分析した。その結果、P100では左右半視野においていずれの刺激においても一次視覚野の反応に半球間機能的有意差を認めなかった。いっぽう、N170では左右半視野刺激における顔認知では、右側頭・後頭部(紡錘状回)の機能的優位性が確認されたが、漢字認知では半球間の機能的優位性を認めなかった。このことから、早期の発達段階で獲得される顔認知能力は、後天的に学習される漢字認識能力より、その認知処理過程が特徴的で右半球優位性があることが示唆された。 なお、上述した実験結果は第44回日本臨床神経生理学会でポスター発表した。今後は、視覚認知処理の変化を意識下刺激と意識上刺激で分析し知見を追加しながら、学会発表を行うとともに論文執筆にとりかかる。また、文字認知に関しては半視野では半球間機能的優位性が認められなかったことをふまえ、追加実験を行い、ヒトの文字認知処理過程を検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、実験・計測はおおむね予定人数に達し、順調に進行している。得られたデータに知見をくわえ、より包括的な考察を行い、学会発表・論文執筆を行う段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、得られたデータに分析知見を追加し、国際学会で発表し論文執筆にとりかかる予定である。あわせて、文字認知に関する追加実験を継続し、分析を行う。
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Causes of Carryover |
九州大学大学院医学研究院脳神経病研究施設臨床神経生理教室より、使用予定のないNet Station セカンドライセンス(ドングル)を借用させていただいたため、購入を見送り経費を繰り越すに至った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析用ソフトウェアの購入、国内・国際学会での発表、論文校閲・投稿などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)