2014 Fiscal Year Research-status Report
訓練課題への没頭が外傷性脳損傷患者の注意機能の改善に与える影響:無作為化比較試験
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26750196
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Research Institution | Hokkaido Bunkyo University |
Principal Investigator |
吉田 一生 北海道文教大学, 人間科学部, 助教 (90638280)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Flow / 没頭 / 外傷性脳損傷 / 無作為化比較試験 / 注意機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は無作為化比較試験(RCT)の前段階として2名の外傷性脳損傷患者を対象に、被験者内ABデザインを用いたシングルケーススタディを実施した。患者Aは一般的な作業療法と、Flow状態(課題への没頭状態)を誘発するゲーム課題を期間をわけて実施し、患者BにはFlowを誘発しないゲーム課題とFlowを誘発するゲーム課題をそれぞれ期間を分けて実施した。結果、どちらの患者にもFlow状態を誘発するゲーム課題で訓練した期間で、Flow尺度の得点向上に伴って、注意機能の評価項目の成績向上がみられた。以上の結果から、訓練課題に対するFlow状態を誘発することが外傷性脳損傷患者の注意機能の訓練効果を高める可能性があることが示唆された。このケーススタディにて、訓練課題の難易度、訓練頻度、評価項目などに関して、再検討し、RCT実施に向けて、必要な部分は修正をした。RCT実施前にケーススタディを実施することで、効果量が予測でき、起こりうる問題を事前に知ることで、より洗練された研究計画を立てることができたと考えている。なお、ケーススタディの結果に関しては国際学会にて報告した。また論文化し、国際誌に投稿し受理されている。 その後、RCTのデータ収集を開始したが、病院の入院患者のみでは被験者が十分集まらない状況となり、外来患者や在宅患者なども対象とするために、訓練課題、プログラムの修正を行った。これらの修正は平成26年度中に完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ケーススタディの実施までは計画通りに進んでいたが、その後のRCTの被験者集めが遅れている。入院患者のみで、十分な被験者を集めることができない状況となったため、外来や、在宅で実施できるように課題を作り変えるなどするのに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在RCTの研究課題に取り組んでいるが、対象となる患者が少ないのが現状である。シングルケーススタディの結果をもとに対象患者の範囲を拡大し、さらに、今後、入院患者のみではなく、外来や、在宅からも被験者を集める予定である。そのための訓練課題、プログラムの変更は平成26年度中に完了している。協力病院にも依頼し、広く対象者を集めたい。
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Causes of Carryover |
シングルケーススタディの研究成果発表のため、旅費として212640円、学会参加費として46730円使用した。また訓練プログラムの修正のために、修正用ソフト代として、23760円使用した。また、次年度使用額が生じる理由としては被験者を外来、在宅患者から募ることと変更したことが挙げられる。この変更に伴い、実験の被験者である患者には、実験協力を促すため、謝礼を支払うこととした。この分を次年度に使用したいと考えている。またRCTの被験者があまり集まっていないために、訓練課題実施用のパソコンの購入をする必要がなかったことも、次年度使用額が生じた理由としてあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、被験者一名あたり、実験謝礼として15000円から20000円程度支払う予定である。またその他、訓練課題実施に必要なパソコンや検査用紙等を新たに購入予定である。ただし、この場合、被験者を集めることを優先し、場合によってはパソコン購入用の予算は実験謝礼とする可能性がある。
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