2014 Fiscal Year Research-status Report
前頭前野機能障害に対する認知課題を用いたリハビリテーションの有用性に関する研究
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26750206
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
大杉 紘徳 京都橘大学, 健康科学部, 助教 (00708159)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳波 / 安静時 / 脳内神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,若年健常人の安静課題時の脳内神経活動を計測するとともに,認知課題時の脳内神経活動の変化,および周波数特性を検討した.安静課題時には,前頭前皮質,後部帯状回,楔前部,下頭頂小葉の活動を認めた.認知課題時には前頭前皮質の活動が顕著となることが示された.安静時‐課題時の脳内神経活動の差異は,先行研究と同様の結果が得られ,脳波LORETA解析によるDefault mode networkの検討可能性が示唆された.認知課題終了後には,脳内神経活動はゆるやかに安静課題時の状態へと戻っていくことが確認されたが,課題修了30分後おいても,前頭前皮質の活動は,課題前の状態よりも高い値であることから,短時間の課題であったとしても,その効果は持続する可能性が推察される.さらに,安静時のα波が先行研究で示されたDefault mode network領域と同部位の活動を認めることから,周波数解析の応用可能性も示唆される. また,プレ実験として,脳血管障害患者1例に対して,脳波を用いたDefault mode networkの検討を行った.その結果,若年健常人と同様に,前頭前皮質,楔前部,下頭頂小葉に安静時の神経活動を認めたが,後部帯状回では神経活動が認められなかった.このことから,脳血管疾患のDefault mode networkは変調をきたしており,障害との関わりが見いだせる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,脳波によるDefault mode networkの検討が可能か否かを明らかにするとともに,脳血管障害患者の認知機能との関連を検討することである.本年度は,若年者での検討に加え,脳血管障害患者のデータ収集を開始できていることから,本年度の達成度は「おおむね順調に進展している」に該当すると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
脳血管障害患者のデータ収集を進めるとともに,脳血管障害を有さない同年代の高齢者のデータ収集を行う.さらに,得られたデータを学術誌などで広く発信する.
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Causes of Carryover |
脳波測定機器が定価よりも低く納入できたことによる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ収集に必要な消耗品,学会発表旅費,論文投稿に関わる諸経費としての使用を計画する.
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